「どうにもならない現実」が見えているか
不安がちな人は、完璧主義だということはすでに述べました。まわりに評価されても、自分のできていないところに目が行ってしまう。80点が合格点でも、常に100点を目指して、85点の自分を許せない。
その生き方は、非常に精神的な労力がかかります。そのような考え方のままでは、うつや神経症につながっていってしまいます。
ではどうすればいいのか。「受け入れる」ことです。完璧主義者は、「どうにもならない現実」があることを見ることができない。いうなれば「完璧というありもしない夢」を追う理想主義者なのです。自らの理想という「気分」に支配され、「目的本位」になれていない。
現実的に見れば、不安に思っていることは、必ずしも起こるとは限らない。願望は、完全にうまくいくかもしれないし、うまくいかないかもしれない。ならば、不安よりも、願望に従ったほうがいい――。そんな「部分否定」の気持ちで「受け入れる」ほうが、精神面は好転します。まずは完璧ではない自分を許すところから始めましょう。
勝 久寿
精神科医
人形町メンタルクリニック院長。著書に『「いつもの不安」を解消するためのお守りノート』がある。
精神科医
人形町メンタルクリニック院長。著書に『「いつもの不安」を解消するためのお守りノート』がある。
(構成=伊藤達也 写真=iStock.com)