5年愛知万博は2200万人、大阪は5000万人目指せ

――日本の大阪、ロシアのエカテリンブルク、アゼルバイジャンのバクーが立候補している2025年万博の誘致レースで、大阪が優勢だと伝えられています。しかし1970年大阪万博の立役者である堺屋さんは、「楽観視するな」と発言しています。その真意は?

作家、元経済企画庁長官 堺屋太一氏

【堺屋】25年万博の開催地は18年11月の博覧会国際事務局(BIE)総会で決まります。18年に入ってフランスのパリ(サクレー)が立候補を取り下げたことで楽観論が出ているのだと思いますが、なぜフランスが降りたかというと、ロシア・エカテリンブルクには勝てない、とフランスの関係者が判断したからだったともいわれます。

エカテリンブルクはロシア中央部、ウラル山脈の東側にあり、中国が唱える「一帯一路」構想の重要な拠点です。中国はエカテリンブルク支持にまわると見られています。また中国は次に「広東万博」を企てている、ともいわれています。中国が動けば、中国とのつながりが深まっているアフリカ諸国の票も動くのではないか。そのことを過小評価すべきではありません。

――大阪の開催計画をどう見ますか?

【堺屋】まず入場者数を2800万人と保守的に見積もっている。計画の発想が小さいのです。それは2200万人だった05年の愛知万博(愛・地球博)を基準にしたからでしょう。

万博には前回の大阪万博や10年上海万博のような一般博(現・登録博)と、85年つくば科学博のような特別博(現・認定博)があります。私は内実を知っているのでいえるのですが、愛知万博は制度の切り替え時期にあたり、たまたま登録博となったのですが、実態としては違います。

そのため、70年大阪万博のように各国から6421万人も集めるビジネスにはならなかった。寄付金や前売り券販売に頼る「公共事業型」で、全国から人を呼ぶことができず、結局、集客の7割は愛知・岐阜・三重の東海3県だけに偏ってしまいました。

たった15日間ほどのオリンピックなら利益を見込まない公共事業型でも仕方がありません。しかし半年も続く万博、しかも大規模な登録博は広くお客を集めるビジネスであるべきです。大阪はいま、アジアを中心に海外からの旅行客が殺到しているのですから、25年万博でも、内外からの出展、集客を呼びかける。そしてビジネス拠点としての大阪をアピールする。それには延べ5000万人レベルの大計画をつくる必要があります。