関西に行ってみたいというニーズが
【三宅義和・イーオン社長】濱田憲洋さんは兵庫県姫路市を拠点に、訪日外国人への関西観光のボランティアガイド活動を行う非営利団体VISITKANSAI(ビジット関西)の代表をされておられます。現在は、東京勤務のため、週末に関西に戻られて、ボランティアガイドや会の運営に携わり、月曜日には東京に戻って仕事をなさっています。まるでスーパーマンのような日々ですね。
非営利団体としてのスタートは11年前と聞いています。当時はまだ、濱田さんはメンバーではなかったそうですが、おわかりになる範囲で、設立の経緯や現在の活動内容について教えてください。
【濱田憲洋・VISITKANSAI代表】2005年に前任者がホームページを立ち上げたときは、日本を訪問される外国人観光客のガイド要請を受け付けて、ボランティアガイドをするという現在のような取り組みは一切していませんでした。
当初は、関西圏の観光地や名所・旧跡、文化などに関する情報をインターネットで外国人向けに発信していたわけです。すると、ページを見た人からコンタクトが来るようになって、観光地に関する質問から始まり、やがて「あなたは詳しいので、私をガイドしてください」と、サイトの管理者にリクエストされるようになったのです。
【三宅】なるほど、それは自然の流れかもしれませんね。
【濱田】最初は1人でぼちぼちやっていたそうですが、依頼数がどんどん増えてくると、とてもさばききれません。そこで、彼が自分と同じようなボランティアガイドを募り、登録してもらい、外国人観光客からのリクエストを紹介するようにしました。
私は15年3月に前任者から団体の運営を引き継ぎました。基本的なスタイルは変わらず、動画や投稿による観光情報とガイドのリクエストの2つのコンテンツが中心になっています。
【三宅】「インバウンド」という言葉に象徴されるように、昨年の訪日外国人観光客は2400万人を超え、政府は東京五輪が開催される20年までに4000万人突破を目標にしています。濱田さんのところにも、ガイドを希望される外国人の方々が急増しているのではないですか。
【濱田】そうですね。特にこの2、3年ぐらいは依頼が増えてきています。いろいろ事情はあると思うのですが、6年前に東日本大震災が起きて、一時日本に来る観光客の数がグッと減ったことがありました。そのときは、私たちへのガイドリクエストもすごく減ってしまいました。
それから少しして、ちょうど東京オリンピックの招致が決まったということで、俄然、日本に注目が集まるようになりました。加えて、為替も円安に振れるようになり、外国から日本へ観光に来やすくなったということもあります。そうしたなか、関西に行ってみたいというニーズも増えてきたということでしょう。