教授自身も過去に10年服用して効果を実感
この薬品は男性ホルモンのテストステロンが脱毛を促すDHT(ジヒドロテストステロン)に活性化するのを防ぐ働きがあり、現在は世界60カ国以上で承認されています。日本の臨床試験ではフィナステリド1ミリグラムを1日1錠、1年間続けて飲んだグループで54%の人に「改善」が見られました。私自身も過去に10年服用しており、その確かな効果を体験しています。
2017年からは、フィナステリドより効果が出るのが早いといわれる「デュタステリド」(商品名:ザガーロ)も治療薬として使用可能になっています。塗り薬の「ミノキシジル」(商品名:リアップ)も効果が実証されており、この3つが男性型脱毛症の中心的な治療薬となっています。
一方で薬による薄毛治療の欠点は、長い時間がかかること。そのため恋愛やお見合いなどの理由で「即効性」を求める若いAGAの患者さんは、治療法として「手術」と「ウィッグ(カツラ)」を選択することが多くなります。日本でも40年以上前から植毛手術は行われていましたが、近年自毛を移植する技術が飛躍的に向上しました。手術の費用は50万~150万円ほど。フィナステリドは保険適用外なので1カ月1万円ほどの費用がかかります。
寂しくなっていく頭髪にどう対処するか。その判断材料を得るためにも、近くの皮膚科を1度訪ねてみてはいかがでしょうか。
▼POINT!
・どこから始まる?
日本では40代男性のうち約3分の1が男性型脱毛症になる。発症は遺伝によるもので、環境を整えても条件は変わらない。
・最悪の場合は?
ハゲるだけ。昆布やワカメが効く、頭皮を叩くと脱毛予防になる、白髪はハゲない。これらの俗説には根拠がない。
・予防、改善策は?
効果が証明されているのは飲み薬2種と塗り薬1種(本文参照)。飛躍的に技術が向上した自毛移植手術も選択肢の1つ。
・どこから始まる?
日本では40代男性のうち約3分の1が男性型脱毛症になる。発症は遺伝によるもので、環境を整えても条件は変わらない。
・最悪の場合は?
ハゲるだけ。昆布やワカメが効く、頭皮を叩くと脱毛予防になる、白髪はハゲない。これらの俗説には根拠がない。
・予防、改善策は?
効果が証明されているのは飲み薬2種と塗り薬1種(本文参照)。飛躍的に技術が向上した自毛移植手術も選択肢の1つ。
板見 智
大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座教授
1952年生まれ。大阪大学医学部卒。大分医科大学、マイアミ大学などの勤務を経て2006年より現職。『専門医が語る毛髪科学最前線』などの著書がある。
大阪大学大学院医学系研究科皮膚・毛髪再生医学寄附講座教授
1952年生まれ。大阪大学医学部卒。大分医科大学、マイアミ大学などの勤務を経て2006年より現職。『専門医が語る毛髪科学最前線』などの著書がある。
(構成=大越 裕 撮影=早川智哉 写真=iStock.com)