笑われることとプライドを損なうことはまったく別
ここで認識しておいてほしいのは、ただの「いい人」ではコミュニティーをつくれないということです。
世の中には2種類の人間がいます。何を言っても許され、どんなに雑に人と接しても「愛されるヤツ」と、どんなに丁寧に人と接しても「影が薄いヤツ」です。
後者の「影薄さん」は、初対面ではなかなか名前を覚えてもらえません。たとえ仕事の成果を出し、優秀な成績を収めているとしても、ハダカの人間としての「はみ出し」がなければ、魅力の乏しい印象として扱われます。「あいつ、誰だっけ?」と言われた時点で、もう失敗なのです。気をつかって控えめな態度をとっているのに、それが裏目に出てしまい、「ちょっとは盛り上げろよ」と、少し迷惑な存在として評価されてしまうのです。
それとは対照的に、「ちょっとウザいけど、明るいし、面白いよね」と言われるのが前者の「愛されるヤツ」です。いっしょにお酒を飲んでハメを外したときの会話やパフォーマンスに個性とセンスと破天荒な明るさがあり、ときどき、はらわたがよじれるくらいの衝撃的な笑いの瞬間をもたらしてくれる存在。常識力にやや欠け、言動において周囲をヒヤヒヤさせるようなヤツ。仕事はできても「バカだなあ、あいつ」と言われるようなヤツ。そういうキャラは、なんだかんだ言われても、みんなにとって「また会いたいヤツ」なのです。
魅力的な図太い人間になるには?
図太さやずうずうしさは、周囲の人を惹きつけます。それでは、魅力的な図太い人間になるには、どうしたらいいのでしょうか。
大切なのは、心の持ちようです。笑われることとプライドを損なうことは、まったく別であることを知ることです。周囲にツッコミを入れさせ、それを正面から受け止める覚悟と度量を持てばいいのです。「ハメを外した言動」→「周囲からのツッコミ」→「ツッコミの許容」→「多少の修正」という流れを身につけることができれば、あなたは「影薄さん」から「愛されるヤツ」に変身することができます。
会社では控えめな態度をとる「いい人」でいるのに、いきなり社内でハメを外すのは気が引けるでしょう。実際、以前と違いすぎることによって、「イタい」印象を与えたら逆効果です。
しかし、新しくつくるコミュニティーであれば、「新しいあなた」を見せても違和感はありません。「影薄さん」でいるよりも「愛されるヤツ」になったほうが、人生は確実に充実します。「愛されるヤツ」になることをめざし、あなたが中心となるコミュニティーをつくりましょう。社内人脈から外へ踏み出すことで、未来は開けるのです。
エッセイスト・講演家
早稲田大学社会科学部卒業。主な著書に、『もう「いい人」になるのはやめなさい!』『それでも「いい人」を続けますか?』(ともにKADOKAWA)、『「バカになれる男」の魅力』(三笠書房)、『「男の色気」のつくり方』(あさ出版)などがある。