「なりたい脳」へ、自分流にデザイン

働き盛りのビジネスマンは脳のどの部分を鍛えれば、仕事のパフォーマンスが上がっていくのか。私は、特に「理解系脳番地」と「伝達系脳番地」を鍛えるべきだと考えています。

脳番地とは、私が考案した概念です。人間の脳は右脳と左脳に分かれており、全体で120ほどの脳番地があります。番地ごとにそれぞれの働きがあり、次の8つに分けることができます。

思考や判断に関係する「思考系脳番地」、感性や社会性に関係する「感情系脳番地」、発話や言語の操作に使う「伝達系脳番地」、体を動かすときに使う「運動系脳番地」、物事を理解する「理解系脳番地」、言語や音など耳からの情報に関係する「聴覚系脳番地」、目で見た情報を集積する「視覚系脳番地」、物事を覚えたり思い出したりするときに使う「記憶系脳番地」、これら8つの脳番地のうち、ビジネスマンがよりイノベーティブな発想や組織を大きく前進させる行動力を得るために必要なのが、理解系と伝達系です。

理解系脳番地を鍛えていくと、他者、つまり消費者の欲求やニーズを理解することができるようになるので、新しい商品の開発などに生かすことができます。また、組織内での自身の立ち位置を理解し、自分がどうすることが組織全体の利益となるのか、俯瞰した視点を持つことにもつながります。

伝達系は、上司や部下など、自分と立場や年齢の違う人たちとコミュニケーションをとる際に役立ちます。中間管理職は、部下をマネジメントする傍ら、さらに上の上司から難しい課題や指示を受けるなど、いろいろと難しい立場になります。そのとき、上司に対しても部下に対しても、説得力のある言葉で説明できないと信頼を得ることができません。マネジメントに必要な能力に関係するのが伝達系脳番地と言えるでしょう。

▼ビジネスマンが鍛えるべきは理解系脳番地と伝達系脳番地


1:思考系脳番地
思考や判断に関係する脳の指令塔。意欲を高めたり集中力を強くしたりする機能が集まっているのが特徴。経営者に発達している人が多い。
2:感情系脳番地
喜怒哀楽など、感性や社会性に関係する。生涯にわたり育ち続け、老化が遅いことが特徴。俳優に発達している人が多い。
3:伝達系脳番地
言葉、文字のほか、ジェスチャーなど話したり伝えたりするコミュニケーションを担当。営業マンに発達している人が多い。
4:運動系脳番地
体を動かすこと全般をつかさどる。最も早く成長を始めるのが特徴。農業、漁業のほか、手先を使う仕事に就く人に発達している人が多い。
5:理解系脳番地
物事や言葉など外部から与えられた情報を理解し、役立てる。弁護士、新聞記者、編集者に発達している人が多い。
6:聴覚系脳番地
言語や音など耳からの情報に関係する。音楽家のほか、テレホンオペレーター、塾講師、落語家に発達している人が多い。
7:視覚系脳番地
目で見た情報を集積する。左脳側は文字を読むのに、右脳側は画像や映像を見るのに使われる。レーサーやデザイナーに発達している人が多い。
8:記憶系脳番地
覚える、思い出すことに関係。知識の記憶と感情の記憶を連動させることで鍛えられる。通訳や歴史家に発達している人が多い。