現代人は血管の老化が早い
「日本人の主な死因は、(1)ガン、(2)心臓の病気、(3)肺炎、(4)脳の病気の順です。厚生労働省の発表による4大死因ですが、この4つはさらに大きく2つに分けられます」
脳神経外科医の菅原道仁氏(菅原脳神経外科クリニック院長)はこう話す。どういうことか。
「実は2位と4位は、心臓と脳の『血管の病気』なのです。心臓の血管が詰まれば心筋梗塞になり、脳の血管が詰まれば脳梗塞になります。3位の肺炎で亡くなる人の大半は寝たきり生活だった高齢者ですが、寝たきりになる最大要因は、脳の血管の病気です」
つまり2大死因である「ガン」と「血管の病気」を予防すれば、病気リスクが軽減できるのだ。血管の病気の原因は動脈硬化が進むこと。「よく医者が、高血圧の人に『血圧を下げなさい』と言うのは、『血圧を下げないと、血管の内側がダメージを受けて動脈硬化が進みますよ』という意味です。そのリスクを防ぐのは、食事・運動・ストレス対策なのです」。
健康関連の取材では「現代人の衰え」を知ることが多い。たとえば「唾液を出すための食事」をテーマにしたときは「戦前に比べて現代人は4分の1しか噛まなくなった」と聞いた。今回学んだのは現代人の「血管の老化」だ。
多くの人は「運動」を誤解している
「食生活の乱れと運動不足が2大要因です。たとえば外食で選ぶメニューは、栄養過多かつ栄養不足になりがちです。カツ丼に小うどんをつけたら炭水化物ばかり。つまり栄養が偏ってしまう。運動に関しては、40年前の6割しか体を動かしていません」
食生活では、いつもの肉を青魚に替え、ゴボウなど食物繊維を摂るなど、昔の日本人の食事に近づけることだ。
日常生活で体を動かすことも減った。加えて、多くの人は「運動」を誤解していると菅原氏は言う。
「学生時代の部活を思い浮かべてしまい、『時間がない』と言い訳してしまう。電車での移動なら、通勤時や外出時に駅のエスカレーターではなく階段を使う。早く退社できた帰宅時に一駅手前の駅で降りて歩くのは、運動にもなり、脳への刺激にもなります」