どう違う? 慢性頭痛と急性頭痛
以上は予防の話。では、脳の病気になると、どんな症状が見られるのか。
働き盛りの世代が気をつけるべき脳の病気は、血管の老化にともなう脳出血と脳梗塞だろう。「頭痛がする」というだけでは深刻な病気かどうかわからないことが多いのだが、その慢性度や痛みの強弱からある程度は判断できるという。まずは、その頭痛が慢性のものなのかどうか。
「肩こりや首こりからくる症状も多いのです。その理由は、姿勢の悪さと運動不足が大半。大人の頭の重さは約5キロもあり、姿勢の悪さで体のバランスが乱れると、頭全体が重苦しくなったりします。デスクワーク中心の人が、前かがみでパソコン作業を続けたり、無理な姿勢でスマホ画面を長時間見続けるのもよくありません」
菅原氏のクリニックに来る患者でも「2週間ほど前から頭が痛い」と訴える人は、緊急度が低いと判断する。2週間は日常生活ができたからだ。逆に深刻なのが、「急性」で「程度が重い」頭痛である。
「これは頭だけではなく体のどの部位についても言えますが、『突然激痛が走った』という場合は注意しなくてはなりません。万一、クモ膜下出血を発症していたら3分の1のケースで死亡しますから、対応は一刻を争います。迷わず救急車を呼びましょう」
脳出血とは、読んで字のごとく「血管が破れて出血する」症状、脳梗塞は「血管が詰まる」ことに起因する症状だ。脳出血は死亡率も高く大変危険だが、脳梗塞のほうものんびり構えてはいられない。対処に問題があると体に不自由が残ることが多く、自分1人で健康に暮らすのが難しくなるからだ。