エネルギー事情を改善させ、農業の質も上がる
現在、城南信用金庫が注力している事業が「ソーラーシェアリング」。農地の上に高さ3メートル程度のパイプを立て、藤棚のように短冊状の細長い太陽光パネルを並べ、発電と作物の栽培の両方に太陽光を利用するシステムだ。太陽から降り注ぐ光の3分の1はパネルが受けとめ発電。残り3分の2はパネルの隙間を通って畑に届き、野菜などが育つ。
「現在、一反(約1000平方メートル)の農地で作物をつくった場合、現金収入はせいぜい数万円ですね。種代、肥料代など引かれますから。そこにソーラーパネルを張って発電をすれば、固定価格21円で百数十万円の発電収入が入ってくるんですよ」
城南信金は、千葉県の匝瑳市で、3億円の資金を投じ、耕作放棄地のソーラーシェアリング事業に参画している。1.3メガソーラーの発電規模で年収は4700万円、投資利回り25%を確保している。
「売電事業のお金を、耕作奨励金で農業法人に出し、農地の地主さんにも地代を払っています。東京と埼玉から若い三家族が移住してきまして、有機無農薬の大豆をつくりました。理想の無農薬農業をやろうと、次はカフェ、その次は教育施設だと村をつくり始めています。夢が広がっていますね。日本には43万ヘクタールの耕作放棄地があります、そこでソーラーシェアリングに取り組めば、自然エネルギーが拡大し、農業の質も上がります。一石二鳥です」
吉原氏は、国民、国土を守り、自立を志向する保守こそ、自然エネルギー推進論者になるべきだと言う。
「エネルギーも食料も自給率100%が理想ですよね。国際金融情勢の変動や、万一の紛争にも備えられる。自給、自立できない国は哀れです。保守派こそ自然エネルギーを推奨すべき。福沢諭吉は『一身独立して一国独立する』と言いました。その鍵を握るのが自然エネルギーなのです」