毎月、電力会社から届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」には、請求予定額の内訳に「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という項目がある。つい見落としてしまいがちだが、ここ数年、この項目は確実に増え続けている。現在、太陽光や風力など再エネで発電した電気は、政府が電力会社に買い取りを義務づけており、その費用が賦課金として電気の使用者から徴収されているのだ。国民負担はいったいどこまで増えるのだろうか――。

再エネ買い取り費用、最大1兆円上振れも

「2030年FIT買い取り費用 想定1兆円上振れ」――。

電力中央研究所は3月、再エネの固定価格買取制度、いわゆるFITの買い取り費用が2030年度単年で4兆7000億円になるとの試算を発表した。経済産業省が15年7月に策定した「長期エネルギー需給見通し」では、この買い取り費用を3兆7000億~4兆円の間に収めるとしているので、それよりも7000億円から最大で1兆円上振れする。

その要因について、試算をした電中研社会経済研究所の朝野賢司主任研究員は「太陽光発電の急増が主な要因。問題はFIT開始当初に高く設定された時期に認定された高額案件の導入比率をどう考えるかだ。30年度の再エネの導入量は政府の見通しに準じているが、高額な買い取り価格が設定された太陽光発電の導入比率が政府の見通しよりも高くなると予測。その結果、政府試算よりも上振れする可能性がある」と話す。

実際に私たちが負担する「賦課金」とは、買い取り費用から再エネでの発電によって不要となった火力発電の燃料費などのコストを差し引いたものになるが、同研究所の試算では30年度時点で年間3兆6000億円となり、16年度の実績値1兆8000億円の2倍になる見通しだという。これにより、標準的な世帯(使用量が300kWh/月)の月額賦課金も約1300円(1kWh当たり4.4円)と、17年度の想定額792円(同2.64円)と比較して大幅に上昇する。

FITによる太陽光発電の買い取り価格は制度導入当初より下がってきたとはいえ、設備容量は急速に増えており、賦課金も増え続けている。さらに、30年度の電源構成(エネルギーミックス)では再エネが総発電量の22~24%になることを目標に掲げており、私たちの負担は膨らみ続けていく。