毎月5000円でも新NISAを始めたほうがいいのか。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「何十年も少額で投資を続けても大きな金額にはなりにくい。どこかで投資額を増やす必要がある」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーを考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

黒板にコインを積み上げて描いた芽の成長
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

投資に回す余裕のないカツカツ家計

新NISA(少額投資非課税制度)がはじまってまもなく2年。18歳以上の約4人に1人がNISA口座を持つとされるなかで、「新NISAやらないと損ですか?」という声をよく聞きます。さらにそこへ続くのが、「でも投資に回す余裕がなくて……」という言葉。

そこで今回は、「毎月5000円でも新NISAはやったほうがいいのか?」というテーマで、いくらなら積立投資をする意味があるのか、考えていきたいと思います。

最初に、このお話をしようと思ったきっかけとなったご家族の例をご紹介します。40代夫婦とお子さん2人の村田さん一家(仮名)。堅実で無駄遣いもほとんどないのですが、毎月の家計に余裕はありません。中小企業で働く夫の年収は約500万円で、手取りにすると400万円ほど。妻はパートに出ており、その収入が月5万円。合計すると月の手取りは40万円に満たない程度です。

支出は、毎月10万円の住宅ローンに加え、ボリュームがあるのが教育費で、子ども2人分で月8万円ほどになっています。小学1年生と3年生のお子さんは進学塾には通っていないのですが、体操教室や英語、そろばんなど、それぞれが複数の習い事に通っているため、大きなウェイトを占めていました。そして、食費6万円、水道光熱費3万円、保険料や日用品の支出も足すとカツカツの状況だったため、私のもとに相談にやってきたのです。

収入は増やせず、貯金も崩せない

先程も申し上げたとおり、村田さん夫婦は浪費家でもなく、子どもたちがやりたいことを極力叶えてあげつつ、家計もしっかり回していければ、というスタンスでした。夫の給料を来月から大幅アップ……というのは現実的ではないので、家計的には、妻の働く時間を増やすことが即効性と現実性ある対策ですが、子どもの習い事の送迎があるため、今すぐには難しいということでした。

そんな村田一家の貯金は現在、300万円。半年間の生活費を預金として持っておくのがベターなため、貯金を崩すことは非現実的です。物価高の中で賃金アップも追いついておらず、貯金は難しい。かといって、これ以上働く時間を捻出することも避けたい。でも、子どもの進学や老後のために、いち早く資産形成に取り組みたい――。村田夫妻の切実な思いは、今の現役世代の多くが抱える悩みではないでしょうか。