日本では「年間57億食」も食べる
寒くなり、コートやマフラー姿で通勤する人も目立つ。こんな時季は温かいラーメンが恋しい人も多いだろう。よく「ラーメンは国民食」と呼ばれるが、今回は手軽に作れるインスタントラーメン(以下、即席めん)を調べてみた。まずは全体的な話から紹介したい。
2016年に世界で消費された即席めん(袋めん・カップめん)は「約975億食」になる(WINA=世界ラーメン協会調べ)。8割近くをアジアで消費しており、消費量ランキングのトップ15のうち10カ国がアジアの国だ。1位は中国&香港(年間約385億2000万食)、2位はインドネシア(同130億1000万食)、日本は3位で同56億6000万食となっている。
ここまではある程度の予想がつくだろうが、米国が6位(同41億食)、ブラジルが10位(同23億食)、ナイジェリアが11位(同16億5000万食)なのは意外かもしれない。即席めんは「国民食」であり、「世界食」になっているのだ。
九州では「うまかっちゃん」がトップ独走
日本の大手メーカーの即席めんでは、日清食品、東洋水産、サンヨー食品、明星食品といった大手のブランドがしのぎを削る。袋めん全体の市場規模は約1170億円(富士経済調べ)。どのブランドが好きか。「日清ラ王」、「マルちゃん正麺」、「サッポロ一番」など、人によって好みは分かれるだろう。議論も白熱しそうだ。
だが、九州地区では様相が異なる。ハウス食品「うまかっちゃん」が袋めん市場ではシェア25%で首位をキープし続けているのだ。ハウス食品はカレールウに強みをもつが、即席めんのメーカーとしては上位ではない。筆者は以前から「九州では、うまかっちゃんが強い」という話は耳にしていたが、仕事で大分県から愛知県に転勤した40代の男性(福岡県出身)の次の言葉を聞いて、一段と興味を持った。
「愛知では、あまり『うまかっちゃん』が売っていないので、定期的に福岡の実家から送ってもらっています」
ここまで九州人を魅了する「うまかっちゃん」は、ご当地ラーメンのはしりであり、発売時は九州限定だったという。その歴史や文化を、ハウス食品に聞いた。