「85%以上」の大幅値引きの根拠は?
新聞各紙が社説で一斉に批判を始めた。
学校法人「森友学園」に対する国有地の売却問題で、会計検査院が11月22日、問題の8億2000万円の値引きについて「十分な根拠が確認できない」とする検査結果を明らかにしたからだ。
これまでの国側の説明がいかにでたらめだったかがよくわかる。
問題の約8億円は、地中のごみの撤去費用分としての値引きの額だ。鑑定価格が9億5600万円だというから8割5分以上も値引きされたことになる。
会計検査院はごみの推計量について「売却の契約のときに推計の理由としたデータの根拠が不十分だ」とし、そのうえで「会計検査院がごみの量を独自に算出すると、最大で7割も減る」と指摘した。
今回、会計検査院が調べたのは、大阪府豊中市の8770平方メートルの国有地の売却の経緯だ。2015年5月、森友学園は小学校の用地として定期借地契約を財務省近畿財務局と締結した。その後、森友学園側は地中にごみがあると訴えた。
森友学園は、安倍晋三首相の昭恵夫人がこの土地に開設予定の小学校の名誉校長に一時、就任していた。国会では官僚の忖度(そんたく)などが値引きにつながった疑いがあると野党が追及してきた。現在、大阪地検特捜部も刑事告発を受け、近畿財務局の職員らを背任容疑などで捜査している。
会計検査院の役目は、税金の無駄遣いを厳しく指摘するところにある。その会計検査院の検査でも十分だとはいえない。記録文書が破棄されていたからである。新聞各紙の社説は「再調査を命じよ」「証人喚問が必要だ」と主張している。
国は「不適切な売却」と認めよ
毎日新聞の社説(11月23日付)は「森友値引きは『根拠不十分』 やはり証人喚問が必要だ」(見出し)と主張する。
毎日社説は会計検査院の検査結果について「価格の妥当性に疑義を示したといえる。税金の無駄遣いをチェックする独立機関の指摘は極めて重い」と評価する。
全くその通りである。しかも「財務省などは、値引きの算定についてか『基準に基づき適切に処理した』」と説明してきた」(毎日社説)のは一体何だったのか。
毎日社説はこうも主張する。
「安倍晋三首相は、国会審議で売却の妥当性を問われると、『検査院の検査に委ねる』と繰り返してきた」
「結果が示された以上、一連の売却が不適切だったことを政府はまず認めるべきだ」
頼もしい主張である。沙鴎一歩は読んでいて拍手を送りたくなる。