日本に原発は必要なのか。新聞によって主張は異なる。読売、産経、日経は「原発は必要」という立場だが、朝日と毎日は「脱原発」を主張している。今年11月、ドイツで地球温暖化対策の国際会議「COP23」が開かれ、各紙が社説で取り上げた。だが、朝日と毎日の主張は弱い。脱原発を進めれば、現状では温室効果ガスが増えてしまうからだ。こういうときこそ、脱原発を強く主張すべきではないのか――。
産経新聞の社説「主張」(11月21日付)。見出しは「COP23と日本 脱原発では気温下がらぬ」。

読み解くポイントは「原発への賛否」

地球の温暖化を食い止めるには、石炭や石油などの化石燃料の使用を止めることだ。しかし化石燃料に代わる最適なエネルギーがない。

たとえば温暖化防止に結びつくエネルギー源のひとつに原子力発電がある。だが福島第一原発のようにひとたび事故を起こすと、その被害は甚大だ。放射性廃棄物の処理の問題もある。

もうひとつの選択肢は太陽光発電に代表される自然(再生可能)エネルギーだ。しかし生活基盤を担う「ベース電源」とするには、現状ではまだ不安定だ。

将来、私たちはエネルギー源をどこに求めたらいいのだろうか。

地球の温暖化対策を話し合うため、ドイツのボンで開かれていた「COP23」(第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議)が11月18日(現地時間)、閉幕した。これにあわせて新聞各紙の社説も温暖化対策について論じている。だが、各紙の書きぶりにはかなり違いがある。読み解くポイントは「原発への賛否」だ。

日本の温暖化対策を憂える産経

11月21日付の産経新聞の社説は「COP23と日本」というタイトルを付け、「脱原発では気温下がらぬ」(見出し)と脱原発をストレートに否定する論を展開していた。産経お得意の主張である。

その冒頭で「地球温暖化対策は加速傾向を強めている。日本はこの潮流に対応できるのだろうか」と書き、このままでは日本は温暖化対策の「加速」の波に乗れないと憂える。

そのうえで加速についてこう説明していく。

「温室効果ガスの排出削減に加盟国が自主目標で取り組む『パリ協定』は、2020年から実施に移る。運用に当たっては削減量を確認するルールなどが必要で、来年のポーランドでのCOP24で決定される段取りとなっている。今回はその下準備という位置づけだったが、議論の加速が起こり、COP24の前に追加会合を開催する流れも生まれた」

産経社説は日本の現状について「パリ協定で、30年度の温室効果ガス排出を『13年度比26%減』とする目標を公約している。『京都議定書』で負った6%減でさえ、苦しみ抜いて達成した。26%減は、その比でない」と訴える。