日本政府まで批判する朝日

一方、エネルギー問題で脱原発を主張する朝日新聞の社説(11月21日付)はどう論を展開しているのだろうか。

その書き出し部分で「各国が対策に取り組もうと足並みをそろえたのに対し、米トランプ政権は今年6月に協定離脱を表明し、影響が懸念されるなかでの開催だった」と書く。

トランプ政権が大嫌いな朝日らしい。

朝日社説は「世界の年間平均気温は昨年まで3年続けて観測史上最高を更新し、海面の上昇も加速している。猛烈な台風やハリケーンの発生など極端な気象現象も相次ぎ……」と温暖化による被害の現状を書き、こう指摘する。

「にもかかわらず、トランプ政権は逆行をやめない」

さらに「国際NGOが『最悪の中の最悪』として米国に『特別化石賞』を贈るなど、会議の参加者は反発した。中国に次ぐ世界2位の二酸化炭素排出国である米国の無責任な姿勢は、『先進国が責任を果たしていない』という途上国の不満を噴出させた」とも書く。

後半で朝日社説は日本も批判する。

「(日本は)ガスの排出削減に消極的な国だとみられている。長期の削減戦略をいまだに示していないうえ、途上国への石炭火力発電の輸出を続けようとしているからだ」
「米政権の動きを追うばかりでは孤立しかねない。日本の政府と産業界は自覚してほしい」

革新派を自称する朝日らしい主張ではあるが、現実的路線からは遠い。

それにしても朝日はなぜ、米国や日本を批判する論法を取るのか。それは地球温暖化を食い止めるには、自然エネルギーが不安定な現状では、残る選択肢は原発しかないからだ。それは朝日も分かっているはず。だが、朝日は脱原発のスタンスに立つ。この脱原発を推し進めれば進めるほど、石炭火力を使うことになり、地球温暖化は深刻化する。それゆえ米国や日本を批判して、現実的な議論から逃げているのだろう。

石炭火力輸出で世界が日本を批判

同じく脱原発で論陣を張っている毎日新聞の社説はどう書いているだろうか。

毎日社説(11月21日付)は見出しを「日本の石炭火力に厳しく」と付け、社説の大半が各国の環境NGOによる日本批判関係で占められている。

「残念だったのは、石炭火力発電を重視する日本の姿勢が、環境NGOなどから激しく批判されたことだ」

日本がどう批判されたのか、そこに注目しながら読み進むと、毎日社説は、世界が石炭火力発電の廃止へと進んでいる現状を挙げ、さらには日米による石炭火力発電技術の輸出が「問題だ」とCOP23で批判されたことを指摘する。

毎日社説によれば、日本はまさに石炭火力王国である。

最後に毎日社説は「石炭利用の是非を含め、温暖化対策には多くの利害関係が伴う。国家に限らず多様な主体が知恵を出しあい、取り組まねばならない」と書く。

産経や朝日に比べると、毎日社説は激しさがなく、わりと温厚な書きぶりだ。

それでも毎日社説は「脱石炭の世界の潮流」をきちんと書き、「読み違えれば、国際協調に反すると見なされかねない」と指摘するところなど、環境問題に力を入れている毎日らしさが伝わってくる。

ただエネルギー源をどこに求めるかについては具体的な提言がない。朝日同様、毎日はそのスタンスから原発の再稼働を求めるわけにはいかないからだ。