読売社説の主張は「パンチ」がない

続いて読売新聞の社説(11月23日付)を読み解こう。

まず「不透明な値引きに疑念が募る」という見出しは、ぱっとしない。あまりにも当然すぎるからだ。もう少し奇をてらうところがほしい。これだから「新聞の社説はおもしろくない」と批判されるのだ。

読売社説はその中盤でこう事実関係を書く。

「財務省近畿財務局の依頼を受けた国土交通省大阪航空局が、ごみの量や撤去費用を推計した。専門業者を通さずに直接算定する異例の対応だった。ごみのある範囲や深さ、混入率などの数値を設定し、全体量を見積もった」
「検査院は、数値がいずれも過大だった可能性に言及した。見積もられた量の3割や7割しかない独自の試算結果も示した」

そしてこの後の主張が「値引きに至る不透明な実態が、改めて浮き彫りになった」だが、これではあまりにも当たり前すぎないか。パンチのきいた主張を期待したい。

捜査の行方を具体的に書いてほしい

後半では捜査当局に「捜査を尽くせ」と要望している。これも新聞社説によくあるパターンである。

「刑事告発を受けた大阪地検特捜部は、近畿財務局職員らを背任容疑などで捜査している」
「背任罪の成立には、故意の立証が欠かせない。職員らが自身や学園に利益をもたらし、国に損害を与える目的で値引きをしたかどうかだ。立件のハードルは高いだろうが、検査院の報告書を踏まえて、捜査を尽くしてもらいたい」

大阪地検特捜部の捜査に触れるなら捜査の行方を具体的に書いてほしい。たとえば背任事件が成立するならば、その次に捜査はどう展開するかを書いてほしかった。