漫然とサラリーマンを続けるだけでは「億万長者」にはなれない。雑誌「プレジデント」(2017年8月14日号)の特集「億万長者入門」では、5つの方法で富を手に入れた5人にそれぞれの方法論を聞いた。第2回は鎌倉投信社長の鎌田恭幸氏が語る「株投資」の極意について――。

投資の目的に「社会的意義」を意識する富裕層

鎌倉投信では「結い2101」という投信ファンドを扱っています。これは誰でも参加できる「公募型」で、「無期限の投資信託」であり、「直接販売」の形をとっています。多くの銀行や証券会社が行っている窓口販売とは異なり、運用者や投資先の顔が見える点が大きな特徴です。2101年、つまり22世紀につながる価値を多くの人とともに創っていきたいと願って名付けました。

2010年3月に運用スタート。設定当初の顧客口座数は267でしたが、今年6月末には1万7150にまで増えました。ファンドの規模(純資産総額)も3億円からスタートし、現在279億円へと成長しています。

運用実績は、当初1万円だった基準価額(信託報酬控除後)が、今年6月末の段階で1万7000円台、分配金を含めれば1万8000円台です(図)。1000万円投資していた人なら、7年余りで1800万円、年率換算で約9%の収益を得たことになります。

ただし、我々はそこまで高い運用成果を望んでいません。投資先企業の成長性から判断すれば年率換算4~5%を目標とするのが妥当です。9%という成果は、安倍政権による極端な株価対策があったため、下駄をはいた状況にあるというのが鎌倉投信の見方です。

7年余りの間には当然、価額の上下動がありました。そうした中で、より高い確率で収益を得た人々には、共通する傾向がみられます。それはあくまで結果ですが、「分散投資」と「長期投資」の視点を持っているということです。

「結い2101」を利用してくださっているのは個人が中心。30代から50代の現役世代が75%を占め、月々数万円ずつコツコツ積み立てている人が全体の6割です。積立型投資は、長期投資の王道。ドルコスト平均法や時間分散などと表現され、リスクを減少させるメリットがあります。