下落率は10%程度で収まるようにリスク管理

長期投資が生み出すメリットとしてはこんなデータもあります。この7年余りの間において、年間保有した場合のワーストパフォーマンスはマイナス11%でした。そしてギリシャショック、東日本大震災、円高、マイナス金利、中国ショックなど、何度かマイナス局面に直面したことがあります。ところがどのタイミングで投資しても、2年間保有し続ければマイナスは解消しています。5年間保有すれば、ほぼ年率10%の運用益が得られ、投資タイミングによる差は最大2%程度しかなかったのです。

毎月の貯蓄用資金のうち投資信託に回すお金については、たとえば30代なら、2万円くらいという方が多いようです。30歳から毎月2万円ずつ積立投資をはじめ、年率換算4%(信託報酬控除後)で運用できれば、65歳時には計算上1800万円ほどの資産を築けます。ほかの手段により蓄えた金融資産や退職金などと合わせれば、老後への備えとしてかなりの部分をカバーできるわけです。

とはいえ、預金と違って投資信託は元本保証ではないことや、運用成果がマーケットの動きに左右されることに不安を抱く人もいるでしょう。実は、富裕層の多くがお金を増やすこと以上に、お金を減らさないことを重視しています。ですからその感覚はある意味正しいのです。

ならば、なぜそのような富裕層も投資をしてくださるのでしょうか。それはあえてマーケットから距離を置き、政治的・経済的なゆらぎが起こったとしても、10%くらいの下落で収まるようなリスク管理を心掛けているからです。実際、TOPIXが20~30%下落したときでも、「結い2101」は10%程度の下落ですみました。富裕層の方々にとって、「マイナス10%より減らない」ことは、大きな安心感を得られます。

では、マーケットから距離を置くリスク管理とはどういうことなのか。その答えは、富裕層の方々が資産運用をするうえで重視しているポイントの1つ、「利益だけでなく、投資の社会的意義も意識している」ということにもつながります。そうした目的があればこそ、価額の上下に左右されずに長期投資を実行できるわけです。この投資本来の“意義”について、当社では「いい会社を増やしましょう」というシンプルな合言葉に置き換えて伝えています。