富裕層はマネーゲームと投資を明確に区別している

「いい会社」の定義は様々です。たとえば、本業を通じて社会に貢献する、社会から本当に必要とされる会社であること。社員や取引先、地域などその会社に関わる人々が喜びや幸せを感じている必要もあります。

鎌倉投信 社長 鎌田恭幸氏

また、日本が抱える様々な社会的な課題を解決し、社会の質的発展を導いていける会社が「いい会社」といえます。さらに、大企業ほど経営理念が浸透しにくいので、小さな会社こそ持続的な成長を期待でき、魅力的です。新しい事業に挑戦している会社なら、たとえば海外展開も可能となるなど、より大きく飛躍できます。

しかも、創意工夫度が高い、循環型社会を創造している、働き方の多様性を追求している、地域の雇用率が高いといった独自性があれば、経済環境が悪化しても収益は伸ばせます。結果として株価は環境に左右されにくく、それがマーケットと距離を置くことにもつながるわけです。

個別の企業を推奨するわけではありませんが、もしこうした基準で自ら投資先を探すなら、たとえば上場会社の中で最も個人株主の多いカゴメのように「身近にあって応援したくなる会社」に安心感があります。なお、我々は現在、投資先61社のすべてをWebサイトなどで公開しています。いずれも経営理念を、社内においても社外に対しても共感してもらえるよう、しっかりと発信している「共感資本」「無形性の資産」を持った会社です。

富裕層の方々は、マネーゲームと投資を明確に区別しています。単なるサヤ取りに終始するマネーゲームとは違い、企業活動そのものを応援する“投資”は、対象となる企業の発展・成長そのものが、社会貢献以外の何ものでもありません。

また、「結い2101」に投資する人の約15%は投資未経験だった方々ですが、みな一様に口にするのは「金儲けのみであれば、投資に踏み切らなかった。自分のお金が社会でどう活かされているかが見えるからこそ、投資のよさを実感できる」ということ。“きれいごと”のように聞こえるかもしれませんが、投資家に収益をもたらしてくれるのは、事実、そのような意識なのです。資産形成、社会形成、心の形成を掛け算したものを収益として捉えれば、豊かな投資ができます。

※本文の内容は、鎌倉投信の将来の運用結果を保証するものではありません。

鎌倉投信 社長●鎌田恭幸(かまた・やすゆき)
1965年、島根県生まれ。88年東京都立大学(現・首都大学東京)法学部卒業。外資系信託銀行副社長を務めるなど20年以上にわたり資産運用業務に従事。2008年、鎌倉投信を創業し現職。著書に『日本でいちばん投資したい会社』。
 
(構成=小澤啓司 撮影=小原孝博)
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