2年前にオープンして新名所となった東京ミッドタウンの地下1階に、一風変わったドーナツ専門店がある。白ベースに木肌を生かした造りの店内には、長テーブルの上に2つのアクリル製ドームが置かれ、なかに彩りも鮮やかなドーナツが10種類ほど並べられている。

ここは、ドーナツ専門店「ネイン」の2号店だ。1号店は2008年9月に赤坂サカス近くにオープンしている。

<strong>ネインジャパン社長 山田善久</strong>(45歳)●1964年、京都府生まれ。87年東京大学法学部卒業、日本興業銀行入行。92年ハーバード大学大学院にてMBA取得。ゴールドマン・サックス証券を経て、2000年楽天常務、04年楽天トラベル社長。07年楽天関連の役職を辞任。08年より現職。
ネインジャパン社長 山田善久(45歳)●1964年、京都府生まれ。87年東京大学法学部卒業、日本興業銀行入行。92年ハーバード大学大学院にてMBA取得。ゴールドマン・サックス証券を経て、2000年楽天常務、04年楽天トラベル社長。07年楽天関連の役職を辞任。08年より現職。

「ネイン」を設立したのは、山田善久(45歳)だ。前職は楽天トラベル社長。楽天グループで仕事をする前は、ゴールドマン・サックス証券、その前は日本興業銀行に勤めていた。東大法学部を卒業して、ハーバード大学大学院のMBAも取得している。しかも奥さんは、「興銀中興の祖」と称された中山素平の孫娘である。

歩もうと思えば、どこまでも歩めそうなエリート街道を自ら外れて、なぜ山田はドーナツ店を営もうと思ったのか。

まず興銀からゴールドマン・サックスに移ったのが1999年のことだ。

「興銀は大好きでしたし、本当に悩みました。でも、当時ロンドン支店にいて、日本のバンカーが世界では格下に見られているのが悔しかった。そこで、思い切ってアメリカの金融のど真ん中に飛び込もうと考えました」

ゴールドマン・サックスで、創業間もない楽天の担当になる。創業者の三木谷浩史は、興銀での1年後輩に当たる。三木谷に請われて、山田が楽天に入るまで、多くの時間はかからなかった。楽天では、検索サイトのインフォシークや、ホテル予約サイト「旅の窓口」のM&Aにかかわり、全日本空輸(ANA)との提携もまとめた。