スマホで読み取れるコードも開発

バーコード同様、スクリーンコードにも読み取り機(リーダー)が必要になる。アポロジャパンでは2009年に「スピークン」というペン型の装置を開発、音声読み上げ機能も内蔵した。

スクリーンコード読み取り専用機の電子ペン「スピークン」を使って専用冊子に印刷された文字やイラストに触れると、対応する言葉を音声で読み上げる。

英語教材にスクリーンコードを埋め込めば、ページにあわせて英語音声を出すことができる。すでにECCジュニアやベネッセなどの教材に採用されているという。2012年には「ものづくり補助金」を受け、失語症の患者向けのスピークンも開発した。録音機能を備え、家族や支援者が対象物にスクリーンコードを貼って録音しておけば、その物の名を読み上げることができる。

英語教材にはこれまでCDが添付されることが多かったが、スクリーンコードとスピークンを使えば、CDは不要になる。アポロジャパンでは「ScVoice」というアプリを開発、スクリーンコードにかざすとスマホから音声を再生できる。教育出版社のいいずな書店ではこの仕組みを採用することで、CD添付のない音声付き書籍を出版している。

2016年にはSendFeeling社から音声録音ができる育児日誌「MEMORIALBOOK'S」が発売された。スピークンが付属しており、子供の声などを録音して、記入した日誌のページにひも付けておけば、赤ん坊のときの泣き声や初めてしゃべった言葉などを記録しておくことができる。

さらに岸上は「最近ではトレーサビリティ用に使いたいとメーカーから問い合わせが増えています」という。その目的は「不当廉売」の追跡だ。不当に安売りされた製品があった場合、製品のタグなどにスクリーンコードを埋め込んでおけばどのルートから流れたのか追跡できる。メーカー側が以前、QRコードを印刷しておいたところ、コード部分が黒く塗りつぶされたことがあったという。スクリーンコードであれば、どこにコードが埋め込まれているのか分からないので、ごまかしようがない。現在、ブランドオーナーのメーカー3社と交渉中だという。

また生命保険会社からは、書類のセキュリティ強化にスクリーンコードを使いたいという相談が寄せられているという。

個人認証にも活用できる。ICカードなどを発行しなくても、スクリーンコードを印刷した紙を代用すれば、入場ゲートなどで入退室を管理できる。

スピークンも少しずつ普及してはいるが、読み取り機を前提としたビジネスでは一般へは広がりづらい。そこで、アポロジャパンではスマホで読み取れるスクリーンコードとアプリも開発した。

こちらは、印刷物とは違って1ユニットが1センチ角で9×9=81ドットと大きめになっており、目立たないような薄い黄色のドットを認識する仕組みになっている。

スマホで認識できれば、販売促進用にも利用できる。例えば、商品ラベルに印刷して関連情報を表示できる。ラベルだけでなくペットボトルのキャップなどにも印刷できる。