ちょっとした衣服の手直しを代行する。そんな「お直しサービス」で躍進している中小企業がある。ビック・ママ(本社・仙台市)は、「いつもカウンターに人がいる」という手軽さで店舗を拡大。現在は国内68店舗、海外7店舗を展開している。父親から継いだ下請け会社をどう成長させたのか。守井嘉朗社長に聞いた――。

明確な料金体系でお直し需要を開拓

「ズボンのサイズが合わなくなってきた」「セーターに虫食いがあって着られない」。そんなとき、どこに持ち込めばいいだろうか。

仙台に本社を置き、首都圏でもチェーン店を展開する「ビック・ママ」は、「お直しコンシェルジュ」として、こうしたニーズを掘り起こし、1999年に仙台三越に1号店を出して以来、成長を続け、現在では国内で68店舗、海外で7店舗を展開している。

守井嘉朗 ビック・ママ社長

社長の守井嘉朗(47歳)は、こう語る。

「イラスト入りのメニューを作り、明確な料金体系を示したのは業界では早いほうだったと思います。しかし、価格で勝負しているわけではなく、同業の最大手チェーンより1割安い程度です」

料金は店頭のメニュー表に明記されている。メンズパンツのウエストサイズ直し(後ろ中心)は2160円、スカートの丈つめも2160円、ズボン裾上げ(シングル)1080円などが人気メニュー。洋服のほかにもバッグ、財布、ベルト、靴、グッズ、アクセサリーの修理も受けている。

店舗は、首都圏の駅ビル、デパート、ファッションビルを中心に展開し、ドアのないカウンター式の受付で、3~4坪の小型店が大半だ。ファストフードのように誰もが気軽に立ち寄れるようになっている。利用客の7割以上は女性だという。

「お客さまが気軽に何でもお尋ねになれるよう、カウンターには必ず誰かがいます。30代女性が使いやすいお店を意識して設計しました」(守井)

店舗内にはミシンが置いてあり、ズボンの裾上げやほつれ直しなど、簡単なものはその場で直す。自店で処理できないものは仙台の工場へ送り、補修して7~10日で顧客に返す。

補修の職人は100人ほど。その大半が女性で、ほとんどが正社員だ。技能レベルによってランク分けされており、補修の難易度によって仕事が振り分けられる。