日次決算の導入で利益が出せる体質に

15店舗ほどになった2007年、守井は赤字店が増えていることに気づいた。

エミオ石神井公園店。

ビック・ママの運営は初期投資で1年目が厳しく、3年目以降で利益が出る。出店数を増やせば、当然、利益は圧迫される。

そして、より根本的な問題は、店舗間の作業量の差だった。客が少なく、稼働率の低い店が利益を押し下げていたのだ。

そこで、他業界の例に学び、守井は「日次決算」を導入した。本部各店の注文状況と原価の「見える化」を進め、預かった品物を繁忙店から暇な店に宅配便で移動させることで各店舗内での作業の平準化を図った。

その結果、店舗ごとの売上高原価率は平均60%から55%に低下した。ここでの「原価」には人件費や協力会社に出す外注費が含まれている。売り上げ重視から生産性重視に店舗運営を切り替えることで、徐々に利益を出せる体質になっていった。

2014年からは海外にも進出。現在、シンガポールに7店舗、ベトナムに1店舗を出している。高島屋や現地のショッピングモール内にあり、駐在の日本人や欧米人の利用が多いという。

古いものを大切にする風潮が若者にも広がりつつある。「使い捨て」から「お直し」へ。ビック・ママの活躍の余地はまだまだ大きい。

(文中敬称略)

株式会社ビック・ママ
●代表者:守井嘉朗
●創業:1992年
●業種:衣料品などの補修チェーン運営
●従業員:国内312名・海外40名
●年商:16億8069万円(2016年度)
●本社:宮城県仙台市
●ホームページ:https://big-mama.co.jp/
(写真提供=ビック・ママ)
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