日本にあきらめの空気が漂っていた戦後間もない時代、大阪の町工場から世界を変えようとした男がいた! 現代にも通じるリーダーの条件とは何か? 男のDNAを受け継ぐトップと、男に魅せられた企業小説の第一人者・高杉良が語り明かした。
「鉛筆の先を手前に向けて置きなさい」
【高杉】八谷(やたがい)泰造さんとの出会いは、僕がまだ20代半ばで化学業界の専門紙の駆け出し記者をしていたころです。当時は日本触媒化学工業(現・日本触媒)といっていましたが、取材先の社長でした。年齢の差を超えて、友達のようなつき合いをしていただきました。それだけに、八谷さんほど思い出深く、愛着心と尊敬の念を感じる経営者はいません。
いつか、八谷さんを主人公にした物語を書こうというある種の使命感がありました。けれども、あまりにも自分にとって近しい存在だったためでしょう、なかなか書き出せなかった。小説誌に『炎の経営者』を書きはじめたのは、亡くなって17年ほど経ってからです。それが今回テレビドラマ化される。感慨無量ですね。
【池田】八谷さんが亡くなられたのは1970年。私が日本触媒に入ったのが76年ですから、残念ながら直接には存じ上げません。とはいえ、入社当時はまだ社内には八谷信奉者ともいうべき上司がいました。新入社員研修のときに、いろいろ仕事の仕方を教わりました。例えば、鉛筆を机に置く際に「鉛筆の先を手前に向けて置きなさい。そうすれば、次に手に持ったときすぐに書きはじめられるでしょう」といった具合です。八谷さんは、そんなところまで厳しく指導されていたのです。
ドラマ『炎の経営者』放送決定! 3月19日(日)午後4時~(フジテレビ系)
原作は1986年に高杉良氏が発表し、「ビジネスマン必読のロングセラー」ともいわれる、伝説の経営者を描いた小説『炎の経営者』。主人公を演じる伊原剛志、戸田菜穂、山口智充、石丸謙二郎、渡辺大、柴俊夫ら実力派のキャストがそろう。放送終了後よりフジテレビオンデマンドでも配信。
原作は1986年に高杉良氏が発表し、「ビジネスマン必読のロングセラー」ともいわれる、伝説の経営者を描いた小説『炎の経営者』。主人公を演じる伊原剛志、戸田菜穂、山口智充、石丸謙二郎、渡辺大、柴俊夫ら実力派のキャストがそろう。放送終了後よりフジテレビオンデマンドでも配信。