民進党の代表選が8月21日に告示された。新聞各紙の社説は翌22日付で「党の存在意義が問われる代表選」などと解説している。本来、大きな争点は共産党との選挙協力の是非だ。しかし大半の社説は民進党を批判するばかりで、明確な主張がない。その中で読売新聞の社説だけが、その点をうまく論じているという。ジャーナリストの沙鴎一歩氏が解説する。
読売新聞の社説(8月22日付)。見出しは「民進代表選告示 瀬戸際脱する機会にできるか」。

民進党を「崖っぷち」と揶揄する朝日社説

「この崖っぷちを乗り切れるかどうか。野党第1党としての存在意義が問われる民進党の代表選は、前原誠司氏と枝野幸男氏の一騎打ちになった」

こう書き出すのは朝日新聞の社説である。

「崖っぷち」とはこれまた手厳しい。しかも「乗り切れるかどうか」と疑問を投げつけて揶揄している。見出しも「崖っぷちだ、どうする」だ。

かつて旧民主党政権を擁護しつづけてきた朝日の社説とは思えない書き出しと見出しだ。朝日社説の嫌らしさが感じられなくもない。

この後も「党代表は毎年のように交代している。約5年前の旧民主党政権の挫折後、代表選は早くも4度目。あきれる人も多かろう」である。

おまけに「本紙の8月の世論調査で民進党の支持率が6%に過ぎないことが、そんな実情を映す」と攻撃的だ。朝日にとって自社の世論調査は絶対的なのだろうが、世論調査というものは質問の仕方でがらりと結果も変わるケースもある。

批判するだけの新聞社説はいらない

続けて朝日社説はこう主張する。

「民主主義が健全であるためには、頼れる野党が必要だ。政権交代に現実味がなければ、政権党は緊張感を失い、おごりや腐敗につながる。『安倍1強』のもとで噴き出した森友学園や加計学園の問題、陸上自衛隊の日報隠しはその典型だ」

いまのトランプ政権は問題だらけでどうしようもないが、米国のように2大政党が交互に政権を握って国家を安定運営する。この考え方には沙鴎一歩は大賛成である。1党独裁政治が崩壊することは、これまでの歴史が明確に示している。

さらに朝日社説はこう書いている。

「民進党は何のために、何をする政党なのか。どんな社会の未来図を描くのか。愚直でも、徹底した論戦を通じて国民に示すことだ」

まさにその通りなのだが、朝日新聞はは日本の国をどうするべきだと考えているのだろうか。そして、そのために民進党にどうあってほしのだろうか。社説好きの読者の1人としては、この点を書いてほしかった。残念である。