前原新代表をけなす産経社説のすさまじさ
まずは産経社説。「民進党の前原誠司新代表が、出だしから大きくつまずいた」と書き出し、「党勢立て直しの目玉にしようとしていた幹事長人事が挫折した。しかもその理由が男女関係をめぐるスキャンダルというのは、何とも緊張感に欠ける話である」と民進党を小馬鹿にしたうえでこう続ける。
「その山尾志桜里元政調会長は、既婚男性との交際疑惑について否定はするが、まともな説明ができないまま、離党に追い込まれた。この間、目立ったのは事態の収拾をめぐる前原氏の優柔不断な姿勢である。本人をかばおうとしてそれもかなわず、危機に対する認識と対応の甘さを、露呈したと言わざるを得ない」と前原氏を非難する。
矛先は山尾氏より前原氏に向く
さらに産経社説は「いったい、前原氏は山尾氏に何を期待していたのか。たしかに、山尾氏は待機児童問題などについて、国会で安倍晋三首相を鋭く追及したことなどが注目された。自民党議員のスキャンダルも厳しく批判していた」と前原氏を追及する。
続けて「だが山尾氏は、自らの政治資金の処理をめぐり、元秘書が多額のガソリン代を計上していた問題を抱え、政調会長当時にも詳細な説明を避け続け、批判を受けた」と書き足し、「このような人物を党の要職に起用しようと考えること自体、政治倫理への意識の低さを示す。不祥事を起こした際の身の処し方にも、大いに問題があった。当選2回の若手を抜擢(ばってき)するには、不安要素が多すぎることは分かっていたはずである」と矛先を前原氏に向け続ける。
過去の問題まで引っ張り出して攻撃
産経社説は「思い起こされるのは、前原氏自身が外相当時に外国人献金の発覚で辞任したことや、党代表のときに信憑(しんぴょう)性の薄いメールを根拠に自民党を攻撃し、謝罪したうえ、代表の座も失ったことなどだ」と前原氏の過去の問題まで引っ張り出して攻撃する。犯罪者に対してさえ、過去の犯罪歴を云々するのは御法度なはずである。それをここまで書き立てるのだから産経社説の民進党嫌い、前原憎しはすさまじい。
こうも前原氏を非難する。
「進退にかかわる重大事を経験していながら、適切な対処の仕方を学んでいないとすれば、指導者としての資質も問われよう」。要するに、前原氏には民進党の代表は務まらないというのが産経社説の判断である。果たしてこの判断が正しいのか、この沙鴎一歩はそうは思わない。
今後、民進党が壊滅するか、それとも存続するかはこの先の政治の流れと民進党支持者の動向をみなければ分からない。前身の民主党は一時的にせよ、政権を獲得し、日本に2大政党政治の可能性を示した党である。産経社説のように単純には否定できない。
仮にも前原氏はその民進党が選んだ代表である。民主党誕生以来、活躍してきた人物だ。民進党が野党第1党である以上、前原氏を産経社説のようにむげに扱うことには無理があると思う。
だからこそ、「そうは思わない」のである。