DeNAが運営する、個人間のカーシェアリングサービスが好調だ。クルマのオーナーと、ドライバーをマッチングさせるサービスで、2015年秋のリリース以来順調に登録者数を増やしている。今回、その人気の車種ランキングを初めて公開。ランキングからは、クルマへの意外な需要が見えてきた――。

年間100万円以上の副収入にも

DeNAが2015年秋より運営する、個人間カーシェアリングサービス「Anyca(エニカ)」が順調にユーザーを伸ばしている。17年6月時点で、登録車両台数は3000台超、登録会員数7万5000人、累計カーシェア数は1万8000回。「若者のクルマ離れ」というワードがメディアに登場して久しいが、エニカは都市部の若者を中心に活用されており、実はまだまだクルマへの需要が根強いことを示している。

エニカでは、クルマを持つオーナーと使用したいドライバーがそれぞれ登録を行い、ドライバーは車種、時期、地域などの希望に沿ったクルマを検索。アプリ上でオーナー宛てに予約リクエストを送り、承認されたら、決めた待ち合わせ場所でクルマを受け取る。一部オーナーの協力を得て、対面せずにクルマの受け渡しを済ませることができるスマートキーデバイスの実用実験も行っている。

利用ドライバーひとりあたりの月平均シェア日数は1日半、平均利用価格は約1万円だが、個人間サービスゆえに、オーナーによってシェアの仕方はさまざま。中には年間100万円の維持費軽減を達成しているオーナーもおり、使用できる車種も多岐にわたっている。エニカのコンセプトは「“乗ってみたい”に出会える」。高級車を所有しながらも普段乗ることができないオーナーと、維持は難しいながらも憧れのクルマに乗ってみたいユーザーをマッチングさせるサービスなのだ。

エニカが集計した人気車種ランキングをみると、輸入車の人気の高さが印象的だ。トップ10のうち、半数以上の6車種が輸入車。内訳は、BMWが3車種(3シリーズ、Z4、1シリーズ)、ポルシェが2車種(カイエン、ボクスター)、MINIが1車種となっている。一方、国産車では、プリウスやハリアーといったトヨタ車のほか、日産・エルグランド、ホンダ・ステップワゴンといったミニバンがトップ10に入っている。

エニカサービス責任者の大見周平氏は、「やはり輸入車は人気です」と語る。

「レンタカーやBtoCカーシェアなどではなかなか用意がなく、利用料金も高い輸入車、とりわけSUVやオープンカーといった輸入スポーツカーに人気が集まっています。クルマが憧れの存在ではなくなったと言われますが、まだまだ潜在的な需要はあります」

憧れの輸入車を、「わナンバー」ではなく、しかもリーズナブルに楽しめるとなれば需要は大きい。なかには同じオーナーから30回以上もシェアしている猛者もいるそうで、もはや自分たちのクルマのように乗りまわしている様子がうかがえる。また女性ユーザーが予約して、あわせて申請登録した男性(彼氏?)に運転させるといったケースもある。リムジン女子会よろしく、インスタグラムでのウケも狙っているのかもしれない。