恵比寿の家賃相場は約27万円
調査は、住宅・不動産情報サイト「SUUMO」を運営する「リクルート住まいカンパニー」が行った。今年1月、「住みたい街(駅)」を3位まで選ぶネットアンケートを実施。東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県に住む20~49歳の男女3996人から回答を得た。
1位は3点、2位は2点、3位は1点として集計したところ、1位は吉祥寺(586)、2位は恵比寿(511)、3位は横浜(460)の順だった(以下、カッコ内は得点)。
今年のひとつのポイントは、吉祥寺の「首位奪還」だ。吉祥寺は、2010年の調査開始以来、ずっと首位だった。ところが去年、はじめて恵比寿に首位の座を明け渡した。なぜこのような変動が起きたのか。その背景には、住まい選びでの背伸びを「ダサい」と受け止める風潮がありそうだ。
調査では「ライフステージ別」でのランキングも公表している。これをみると、今年の総合1位は吉祥寺だが、「シングル」と「DINKS」では恵比寿が1位で、吉祥寺はどちらも2位となっている。一方、「ファミリー」では吉祥寺が1位で恵比寿は4位にとどまる。恵比寿は、3種別すべてで得点を落としているのだが、特に「ファミリー」では39ポイントも減っていて、減り幅が大きい。
恵比寿でのファミリー向け(2LDK/3K/3DK)の家賃相場は約27万円。本当に家族で住めるのは一部の高所得者だけであり、多くの人は「住みたい街」に名前を挙げるのもはばかられるだろう。そこで票が流れたのが、「気をつかわずに住める等身大の街」(SUUMO編集長の池本洋一氏)だ。
北千住の家賃は恵比寿の半額
調査では「穴場だと思う駅」についても聞いている。ここでの1位は3年連続で北千住。「JR常磐線など5路線が乗り入れていて便利。しかも大学の新設で若者が増えている。風俗店がカフェに変わるなど、街の雰囲気もよくなっている」(池本氏)。北千住のファミリー向けの家賃相場は約12万円。恵比寿の半分ほどで、グッと現実的な価格になる。総合順位も17位で、この数年上昇傾向にある。
かつての「あこがれの街」も、ブランド力が低下している。以前はベスト10の常連だった代官山は年々順位を落とし今年は59位(84)。高級住宅街として知られてきた新百合ヶ丘は87位(66)、田園調布は95位(61)、成城学園前は100位(58)と、いずれも順位を落としている。どうも「等身大」から外れた街は人気がない。
20位以内での過去最高位は、大宮15位(220)、北千住17位(200)、浦和19位(177)、立川20位(165)。こうした「等身大」の街が、「住みたい街」として票を集めるようになっている。池本氏は「こうした傾向は今後も続く」とみる。これは消費者の成熟なのか、それとも上昇志向の減退なのか。分析は来年の調査結果を待ちたい。