「年間収支黒字の隠れ赤字家計」高山さん(30代)の家計をチェック
[年収:1100万円]
家族構成●夫(38歳・IT企業システム開発)、妻(36歳・アパレル企業事務)
年収●額面=夫:700万円、妻:400万円(うちボーナス=夫:夏70万円/冬70万円、妻:夏40万円/冬40万円)
貯金額●430万円
夫はIT企業勤務。さすが情報系の最新事情に強く、携帯電話は格安SIMを利用したり、家の電話やインターネット環境もできるだけ安くすむよう整えたりと、通信費には全くムダがない。
家計簿をつけるのも、スマホのアプリを活用。さらにパソコンのエクセルで、企業の財務分析さながらに、関数やグラフを駆使して家計を管理。見せてもらったエクセルデータは、年間の予算と実績などの比較も一目瞭然で、それはそれは立派なものだった。
しかし、「共働きで1100万円もの世帯年収があるのに、なぜ、よくて年間100万円程度の貯蓄しかできないのか」「いったい何に消費しているのか」という問いかけに対し、要領を得た答えが全く返ってこない。
どうやら「年間で赤字じゃないから家計に問題はない」といった意識だったらしい。スマホでの家計簿づけも抜け落ちが多々あり、通帳の残額とつじつまが合うようエクセルの数字を整える、という作業自体に満足していただけなのだ。最近、エクセルで家計を管理する人が増えているが、最も陥りやすいワナに見事ハマっていたといえよう。
そんな高山さんが、なぜ家計相談に訪れたかといえば、子供がほしいと願うなかで、今後、妻の収入がどうなるかが不透明なため、さすがに不安を感じてとのこと。そこでとにかく、収支を年間ベースで捉える考え方を改めてもらい、時間はかかったものの、手書きで毎日の家計簿をつけ、手書きで月間の家計を集計する形に変更してもらった。
それでようやく、ムダ遣いの多さに気づいてくれた。まだ節約ポイントは多いものの、年間200万円以上の貯蓄ができるようになっている。
マイエフピー代表取締役社長。「消費」「浪費」「投資」で仕分ける家計管理の考え方が大反響を呼び、庶民派ファイナンシャルプランナーとして、1万件以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、『「貧乏老後」に泣く人、「安心老後」で笑う人』などベストセラー多数。