年収1000万円以上でも貯蓄100万円以下という家庭は意外と多い。「メタボ家計」の弱点はどこにあるのか。実例をもとに検証する。

数多くの家計簿を拝見して感じるのは、所得の高い家庭ほど、貯蓄が充分にない傾向があること。年収が1000万円を超えているのに貯蓄が100万円以下ということもよくあります。

その理由は、家計にメリハリを付けられないから。健康のために食事に気を使い、子供には最高の教育を受けさせ、家族が幸せに暮らすマイホームも欲しい――。どれも大切ですが、すべてを満たすのは困難です。

しかし、所得が高ければ高いほど、優劣を付けずに、お金をかけることができる。食べ物や使うものにこだわりがあれば、贅沢をしている意識のないまま、プチ贅沢をしてしまう。結局、すべての支出が膨れ上がり、メタボ家計になるのです。

もちろん、家計管理をおろそかにしているわけではありません。ご主人も積極的にかかわり、エクセルを使ってきっちり家計簿をつけているケースが少なくありません。最近ではスマートフォンのアプリで管理している人も増えています。

これが逆効果になることが多いのです。エクセルに入力するときは、毎月の収支もボーナスの収支も同じ表に入力。毎月の収支が赤字でも、ボーナスで補填できれば、年間収支はプラスになり、満足してしまいます。

所得が多いとお金を借りやすい、というのも問題です。背伸びをして組んだローンでマイホームを購入して返済に苦しむ、というのはよくあるケース。利用限度額が大きく、クレジットカードのキャッシングを利用したり、買い物をリボ払いにしたりしてしまう傾向もあります。

夫婦間の力関係が変化していることも影響あるかもしれません。以前は、夫が自分の趣味や遊びにお金をつぎ込むなど、暴走するケースが多くありました。

でも最近は、妻が暴走するケースが多くなりました。働く女性が増えるにつれ、エステやネイルサロンなど女性がお金を使う機会や場所が増えたからです。

無駄遣いをしているという意識は妻になく、むしろ必要経費と思っているくらい。専業主婦の場合には妻のお小遣いを明確に決めていないこともあります。妻は「お小遣いなんてもらえないわ」と言いながら、実のところは生活費から際限なく使っていることが多いのです。