不動産価格の高止まりが続いている。首都圏で2016年12月に売りに出されたマンション価格は平均で5078万円。前年同月比でマイナス379万円とやや下落傾向にあるものの平均的な会社員の給料ではいまだ手の出ない水準のままだ(首都圏のマンション市場動向 2016年12月度 不動産経済研究所 2017/01/19)。

「今は低金利だけどマンションの価格が上がっている」と言われる事も多いが、正しくは「低金利だから不動産価格が上がっている」となる。つまり金利と不動産価格はシーソーの関係にある。毎月の返済額が同じでも金利が低ければより多額の借り入れが可能になり、結果的に高額な支払いも出来るようになるからだ。

そこに海外投資家や相続対策の需要も加わった結果、特に都心部の資産価値が残ると言われている地区は、不動産バブルと言われながらも値下がりする気配はほとんどない。

平均で5000万円ならば実際は6000万円超?

「マクロ」な話は良いとして、ミクロな個人の住宅事情に目を移してみるとどうか。自分がFPとして対応する相談者は首都圏で購入を考えている方が多く、となれば物件価格は安くて5000万円前後、6000万円を超えることも珍しくない。平均で5000万円ならば当然これ位の価格になってしまう。

ファミリー向けのマンションが60~80平方メートル程度である事を考えると、6000万円のマンションならば1平方メートル当たり75万円~100万円、坪単価で約247万円~330万円となる。

「座って半畳、寝て一畳」という古いことわざがあるが、金額に換算してざっくり計算すると「座って100万、寝て200万」といったところか(正確には1畳=1.5~1.8平方メートル程度で、200cm×90cmのシングルベッドサイズに近い)。

このように考えると、自宅のスペースは極めて貴重で限られたリソース(資源)である事が分かる。家計も企業経営と同じで、貴重なリソースを無駄遣いすることは許されない。