孫正義氏は、今年1月の弊誌調査「好きな経営者ランキング」でトップに選ばれたが、反対に「嫌いな経営者」トップに選ばれたのは、元ライブドアの堀江貴文氏であった。すっかりイメージを落としてしまった堀江氏だが、過去には孫氏、楽天の三木谷浩史氏と比較され、経営者ランキングで揃って上位に選ばれた時代もあった。そんな堀江氏から見ると、孫正義氏と、そのビジネスはどのように見えるのだろうか。
―事業家としての孫さんをどのように評価されていますか。
【堀江】いわゆる「ハイローラー」ですよね。精一杯レバレッジをかけて勝っていく感じ。入札では常に最高額を提示するタイプで、お金のパワーをよく知っていますよ。「欲しい」と思ったら、どんなことをしてでも買う、みたいな感じ。
ちなみに僕は逆のタイプ。欲しくても割安でなければ絶対に買いません。
―過去、テレビ局の買収劇で、孫さんはテレビ朝日株を取得したものの、「相手がその気じゃないのに株主になっても無理」とすぐ撤退しましたが、堀江さんはフジテレビに440億円もの第三者割当増資まで呑ませました。こういった判断の違いはどこから生じたのでしょうか。
【堀江】孫さんの判断については、正直わかりません。僕については、買ったほうがいいと思ったから買ったまでです。
―相手が嫌がっても買う価値があると。
【堀江】そもそも「嫌がる」って意味がわかんないですよね。上場会社で株主がいて、公共性の高い企業が嫌がるって何言ってんの、みたいな。嫌がる女性を無理にねじ伏せて、とかじゃないでしょう。
テレビ局は、電波という公共財産を特別に割り当てていただいて事業を営んでいるわけじゃないですか。なのに好きとか嫌だとかいった感情論で物事を進めようとする人がいるから困るんですよ。
―ただ、そうした反発が堀江さんに対するバッシングや後の逮捕につながった面もあると思いますが。
【堀江】逆恨みされたようなことも伝え聞きますが、僕には理解できないし、そうあるべきではないとも思っています。でも実際、そこそこ成功した人が「こいつは嫌い」といった理由だけでいろいろなことを決めたりしている。そういう人は公の精神が欠けていると思いますが。
もちろん、当時の孫さんの判断は、結果論としてはよかったんじゃないですか。