相続税計算のケーススタディ
ここで、被相続人が夫A、相続人が妻Bと長男C、長女Dである場合、相続税がいくらになるか計算してみよう。遺産総額、遺産分割の内容が以下のケースを想定する。
最初に、各相続人の取得した財産の価額から、小規模宅地等の特例の適用、また債務、葬式費用などの控除を行って、「各相続人の課税価格」を算出する。
土地は、小規模宅地等の特例を適用できるとした上で、特定居住用宅地の限度面積330平方メートルのうち、280平方メートルを妻Bに、50平方メートルを長男Cに振り分けることとしたとする。すると、妻Bの取得する8分の7(面積にして350平方メートル)のうち280平方メートルまで、長男Cの場合は8分の1(50平方メートル)すべてが80%減額となる。
(妻B)8750万円×280平方メートル/350平方メートル×(1-0.8)+8750万円×70平方メートル/350平方メートル=3150万円
(長男C)1250万円×50平方メートル/50平方メートル×(1-0.8)=250万円
また、生命保険金は生命保険金額が非課税限度額を超える場合には、「受取生命保険金額-非課税限度額×受取生命保険金額/生命保険金額の合計」が各相続人の課税価格となる。
(妻B)4000万円-(500万円×3人)×4000万円/6000万円=3000万円
(長男C、長女D)1000万円-(500万円×3人)×1000万円/6000万円=750万円
よって、妻Bの課税価格は6850万円、長男Cのそれは3000万円、長女Dのそれは2750万円となる。
相続人3人の「課税価格の合計額」は1億2600万円となるが、ここから「基礎控除額」を差し引く。この家族のケースでは4800万円を差し引いた7800万円が「課税遺産総額」である。
この課税遺産総額を、各相続人が法定相続分に従って取得したものとして、「各相続人の取得金額」を計算する。
(妻B)7800万円×1/2=3900万円
(長男C、長女D)7800万円×1/4=1950万円