これまでリサイクルに手間がかかった金属とゴム・樹脂など異素材混合の廃棄物を独自技術で破砕し、素材ごとに分類する画期的な処理装置「エコセパレ」を開発したエムダイヤは、わずか8人の企業ながら、その技術力の高さから国内外で注目を集めている。
かつてなかった「こそぎ取る」破砕機
金属やゴム、樹脂、木材など材質の異なった素材が混合した廃棄物はこれまで処理が難しく、リサイクルにも手間とコストがかかっていた。例えば、タイヤにはゴムだけでなく、ワイヤも入っている。光ケーブルも鉄芯と樹脂と光ファイバーから作られている。様々な電子部品も樹脂と複数の金属に分けられる。
そのため、従来の分離・粉砕機は、廃棄物をいくつもの装置に通して、1~2ミリサイズまで小さくし、磁力選別や、振動・風力による比重選別、ときには手作業による選別で素材ごとに分けていた。そのため、大型のプラントにならざるを得ず、コストもかかった。それだけのコストをかけられないときは、埋め立てや燃料として使われ、素材としてのリサイクルができなかったのだ。
ところが、富山に本社を置く従業員8人のエムダイヤが独自に開発した分離・破砕機「エコセパレ」は1台ですべてをこなすため、従来の3分の1~10分の1までコスト削減することが可能となった。
同社社長の森弘吉(41歳)は、こう語る。
「従来の装置では破砕後の粒度を数ミリ程度まで小さくしないと選別できませんでしたが、エコセパレは20~25ミリの粒度でも素材を破砕し、分離できるので最終的な選別工程が容易になります」
タイヤを投入すれば、たちまちゴムとワイヤに分かれて出てくるし、光ケーブルを入れれば、鉄芯と樹脂に選別される。エコセパレによって、素材として再利用するマテリアル・リサイクルが可能となり、地球環境の保全にも役立つ。そのため、エムダイヤでは「-『もったいない!』をカタチに-」をキャッチフレーズとしている。
エコセパレは、弘吉の父である会長の誠一(70歳)が、その原型を1999年に開発した。なぜ、そんなマジックが可能になったかと言えば、従来の破砕法とは異なる原理と方法を誠一が発見、開発したからだ。
これまで破砕法の原理は、剪断(切る)か、圧縮(押しつぶす)、ハンマーリング(叩き壊す)だったが、誠一が考えた方法は簡単に言えば、「こそぎ取る」ことだった。
固定刃と回転刃を使い、硬い素材から柔らかい素材をこそぎ取るように剥離する。固定刃と回転刃の間隔、刃の角度など素材によって微妙に調整するが、そこにこそエムダイヤのノウハウがある。国内およびアメリカ、中国、韓国において特許も取得している。