上海万博に沸く中国だが、日本でも同国通貨である人民元に今、大きな動きが出てきている。香港を拠点とする外銀・HSBC東京支店では、5月27日からHSBCプレミアメンバー(月間平均総預り残高が1000万円以上の個人が対象)を対象に、中国の口座開設をサポートするサービスを開始した。

HSBC個人金融サービス本部ヘッドオブマーケティングの小林均夫さんは、「日本のスタッフが書類記入から申し込みまで無料でサポート。手続き後、10営業日以内に利用案内などの口座キットが中国から送付され、中国口座の利用が可能になります」と語る。

1年間に5万米ドル(約455万円相当)までの外貨を人民元に両替でき、人民元建ての定期預金に預け入れることも可能だ。中国口座の定期預金利率は1年物で2.25%(6月13日現在)。日本のHSBCプレミア口座から中国のHSBCプレミア口座へは無料で送金可、取引はネットバンキングで行える。

中国国内であれば、人民元での引き出しも可能だ。現地のHSBCのATMであれば、手数料もかからない。日本国内では、中国最大のデビットカードである「銀聯」ネットワーク加盟のATMなら日本円での引き出しが可能だ。この場合には、20元+引き出し額の1%に相当する手数料がかかる。1元=13円として、1万元(13万円)引き出すと、1560円かかることになる。なお、引き出し額には上限があり、中国国内では1日2万元(約26万円)、年間では2万米ドル(約182万円)相当額まで、海外では1日1万元(約13万円)相当額、年間1万米ドル(約91万円)相当額までとなる。

中国口座を開設すると人民元建てのキャッシュカードが発行される。カードは郵送も可能だが、暗証番号は現地の支店でしか受け取れない。人民元を外貨に両替して海外送金することはできないので、一度は現地に行く必要がある。中国での手続きは、英語もしくは中国語での取引となるので、手続きに対応できるだけの語学力は必須だ。