口座を開設後4カ月目以降、日本の口座での預金額が1000万円を下回ると月額5000円の口座維持手数料が発生する。海外口座に送金した分は基準額に含まれない。

また、中国本土の銀行・中國銀行の日本支店でも、昨年12月から人民元預金口座を取り扱うようになった。同行東京支店顧問の坂本定行さんは「通常の外貨預金同様、本人確認書類があれば口座開設でき、預け入れ額や引き出し額の制限は特にない」と語る。同行の場合、日本円で入金して人民元に両替して預金し、円に戻して引き出すことも、元で預けて元で引き出すことも可能だ。ただし、円、元とも国内の中國銀行の窓口でのみ引き出し可能。

人民元での入出金には、1元につき2円の手数料がかかる。1万元(13万円)預けて、5000元(約6万5000円)引き出すとすれば、往復で3万円かかる計算になる。円で入出金する場合には、TTSとTTBの差額(1元につき0.3円程度・欄外参照)が手数料に相当する。1年物定期預金の利率は0.45%で、日本のネット銀行より少しいい程度。

気になる切り上げについてだが、上海在住のみずほ総合研究所の鈴木貴元上席主任研究員は、「ここにきて為替レートを動かすより、制度面で人民元改革を進める姿勢が強まった。今年後半に改革が進んでも、年1~2%程度の変動でしょう」と指摘する。6月19日、中国人民銀行は、人民元為替レートの弾力性を高めると発表。08年8月以降、対ドルで固定していた相場を管理変動相場制に戻す可能性がある。同銀行は、20日、HPで一度の大幅な切り上げに否定的なコメントを発表したが、将来的には元が強くなる可能性は高いのではないだろうか。

※人民元は1元=13円、米ドルは1ドル=91円として計算。TTSは金融機関が外貨を売るときの為替レート、TTBは買うときのレート。