上司が味方になってくれる泣き方

ビジネス上の失敗でピンチに立たされたとき、アナタの将来を見据え、二度と同じ過ちはしないと考えてくれる上司がいるといないとで、その後の会社員生活が大きく違ってくる場面があるかもしれない。

反省はしている。トラブルの後始末や取引先への詫び入れなどは済ませた。でも、そんなことは誰もがやることだ。いくら叱られてもいいから、ダメ社員のレッテルを張られることだけは避けたい。小さなミスをほじくられ出世コースをはずされてはたまらない。

わかってくれそうな人情味ある上司はAさんしかいない。さあどうする。土下座は、目上がやるからこそ効果がある。この期に及んで自己PR? あり得ない。

いまこそ泣くのだ。本気で涙を流し、味方になってもらうのだ。

傍聴席から、泣きまくる被告人を目撃してきたぼくが断言しよう。人は泣こうと思えば泣ける。そして、泣くことが許されないビジネスマンが、時と場所を選び、素面で見せる涙には稀少価値がある、と。

ビジネスマン生活最大のピンチを乗り越えるために、心の底から反省し、仕事への情熱を無理にでもたぎらせ、熱い思いを上司にぶつける。交際相手や妻子の顔を想い浮かべるのもいいだろう。使える材料はすべて使い、自分の感情をマックスに持っていく。そして、思いのたけをぶつけ終えたら、仕事の会話に涙を持ち込んだことをすみやかに謝る……。

もちろん、仕事のミスを未然に防ぐことが大事なのは言うまでもないが、いざとなれば泣いてでもピンチを凌ぐ備えはしておきたい。

忘れてはならないのが、この手が通用するのは一度きりだということ。二度目の涙を見せたとき、稀少価値は消え失せ、上司は「嘘泣きだったのか」と疑いの目を向けてくる。

ビジネスマンの執行猶予期間はその会社にいる限り続くのだ。

▼今回の「教訓」
――涙はね 飾りじゃないのよ 男の武器
【解説】涙は捨てたもんじゃない。大のオトナが大泣きする「異様な光景」のインパクトは小さくない。ただし、ポイントはその涙に人の心を動かす力があるか。「再犯」の可能性を感じれば、アウト。そして、その禁じ手は人生に1回しか使えないのだ。
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