「現地現物」「教え教えられる風土」復活へ
「新入社員研修を見ると、今その企業が一番大事にしたいもの、残していきたいと考えているものが何なのかがわかります」と、話すのは、今回、取材に同行した東京大学の中原淳准教授。専門は人材育成だ。新入社員研修を通じて、トヨタ自動車が未来を担う新人たちに残したいものとは一体何なのだろうか。
トヨタは、2015年度から全社的な教育改革に乗り出した。きっかけは、09年から10年に北米で起きた大規模リコールにつながる品質問題だった。00年代に入り、急激に生産台数が増える中で、業務の効率化や職務の外注化が進み、「業務をやりきる」機会が減ってきたうえ、「教え教えられる風土」や「現地現物(現場に足を運び、実際に現物を見て触れることで本質を見極める)」といったトヨタ社内で大切にされてきた価値観が失われつつあるのではないか、企業の成長に人材の成長が追いつかなくなっているのではないか、という問題意識が生まれたからだ。
教育改革の大事な入り口になる新入社員教育プログラムは、期間をこれまでの半年から1年に延ばし、「基礎固め徹底プログラム」として刷新された。入社半年後の9月に各部署に仮配属し、OJTも含めて1年間を見習い社員として徹底的に鍛えるという。
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