幼稚な行動の積み重ねでたどり着ける境地
【第3次元:本質を感じ取る】
第3次元の報酬は、行動することで本質を感じ取れるということです。物事の本質は、行動の累積によって見えてきます。空手でいえば、正拳突きを1000回やって初めて拳の握り方を覚えるとか、社長になってPDCAの重要性が深く落ちたということです。
物事の本質を理解していなければ、結果が出ないことがたくさんあります。以前、テレビで青森県のリンゴ農家・木村秋則さんがお弟子さんに無農薬リンゴ栽培の指導をしているシーンが出てきました。
木村秋則さんは映画にもなったノンフィクション本『奇跡のリンゴ』の主人公です。絶対不可能と言われた無農薬リンゴを極貧生活に耐えながら、試行錯誤の上、8年かけて初めて実現した人です。
世はバブルの時代。そんな中で子どもの消しゴム1つさえ買えずに自殺まで考えた木村さん。無農薬リンゴのポイントは、肥沃な土にあるという本質にたどり着きます。りんごの木が自由に根を生やせる肥沃で柔らかい土をつくることが重要だと説きます。
このことをお弟子さんも理解しています。しかし、無農薬リンゴをつくるために毎日撒く必要のある黒酢をお弟子さんはトラクターで散布していました。これを木村さんは許しません。なぜならトラクターで土を踏むと固い土になり、リンゴの木の根が広がりにくいから。何より「リンゴの木が泣いている」と。
しかし、お弟子さんの考えは「手で撒くよりトラクターのほうが効率的のはず」というもの。木村さんに内緒で夜、トラクターで散布するのですが、あくる日に農園を見た木村さんはその行為をすぐ見抜くのです。
ここで問題なのが、結果や最適解を性急に求めたり、プロセスの効率化ばかりを追ったり、人の意見に依存したりすると、本質が見えないということです。
木村さんは8年の試行錯誤を経て、肥沃な土作りがりんごを強くすると本質にたどり着きます。しかし、お弟子さんにはその過程がない。だから、理屈では理解しても、本質として感得していないのです。
私たちの行動の報酬は、行動から本質が見えてくるということ。どんな幼稚な行動だったとしても、必死に積み重ねることでたどり着ける境地がある。
空手道、茶道、剣道……全ての道には偉大なる本質があり、そこにたどり着ける人は大量の行動・経験を積み重ねた熟達者です。
私たちは、行動を積み重ねると物事の本質や自分の本質を理解することに繋がります。これは確実に行動するたびに蓄積していくのです。
今日は、行動による3つの次元の報酬についてご紹介しました。まず行動から考えるヒントになれば幸いです。