【弘兼】小川さんがそのテクニクスブランド事業担当役員に就任されたのは昨年4月。現在、パナソニックの役員で女性は小川さん1人だけ。しかも小川さんはプロのジャズピアニストとしてもご活躍されています。

【小川】もともとジャズピアニストとしてはインディーズ、自主制作でずっと活動していました。あるときメジャーレーベルからCDを発表できる機会をいただいたので、人事部門に相談すると「本業に差し支えなければ構わない」という返事だったので、プロとして活動しはじめました。

【弘兼】3歳からクラシックピアノを習っていたのですね。

【小川】ええ。ただクラシックはほどほどに、毎晩父親のかけるジャズレコードを聴き、独学でジャズを学びました。中学生になると今度はロック好きの兄の影響で「レッド・ツェッペリン」や「ディープ・パープル」などを聴き出し、ギターを弾きはじめた。大学に入ってからは「クロスオーバー研究会」という同好会に入り、ジャズだけでなくプログレ、フュージョン、ポップスと3つのバンドを組みました。

【弘兼】大学時代には「生体のリズム」も研究されていたとか。

【小川】はい。私は理工学部だったのですが医学部と共同で研究していました。ラットを解剖して心臓がどういうリズム感で動いているかを解析して、心拍や呼吸が臓器とどう関連しながら動いているかといった研究をしていました。

【弘兼】それで、松下電器に入社し希望の音響研究所に決まると、音響機器の研究開発の仕事に没頭された。

【小川】そうですね。テクニクスブランドを盛り上げるための新規プロジェクトの立ち上げに携わりました。