彼が挙げる「卓越したリーダー」の8つの要素には、個人の人格的特性に関わるものは2つしか入っていない。1つは、自分自身の目標をコンスタントに引き上げていくことと、自発的に行動することだ。2つ目の要素は、性急な決断を避けるために自分より経験豊富な先輩たちと話をすることが大切だとする。
彼が挙げる他の要素は、一人ひとりが組織の成功に貢献していることを認識できること、チームの資源を十分に活用すること、社員の話をよく聞くとともに、組織内の誰もがCEOに容易にアクセスできる態勢をつくることで社員に対する敬意を示すことなどだ。
クラインフェルトは、説得力は、「肉体的健康を保つこと」と同様、CEOの「いわずもがなの基本的資質」と呼ぶ。しかし、「いわゆるカリスマ的コミュニケーター」でなくても、きわめて強力なコミュニケーション・スキルを持つことはできると言う。大切なのは、1対1の関係や小規模な集団との関係で強みを発揮できることだ。
近い過去のカリスマCEOたちは、概して企業の救世主として招かれ、ビジョン、価値観、使命感といった無形の強みをもたらすことを約束した。
カリスマ的リーダーの危険性は、彼が生じさせる変化が、その企業にとっての長期的な価値を生み出すよりも、むしろリーダー自身に栄光をもたらす働きをすることにある。われわれはそのようなリーダーではなく、「長く繁栄し続ける組織を築くことをめざす」リーダーを求めるべきだと彼は言う。
24歳のときから26年間クリスピー・クリームで働いてきたライベングッドは、リーダーは、「自分を教師とみなし、自分がいなくてもうまくやっていける組織にすることをめざさなくてはいけない。企業の成功を社員の成長と成功の当然の結果とみなさなくてはいけない」と語る。