「よいリーダーの条件」は昔と比べて変わったのか。答えは否だ。「新しい要求」には「昔ながらのスキル」が最も有効だという見方もある。カリスマ型リーダーを待望する文化は、見直す必要がありそうだ。

アメリカの多くの企業のリーダーシップの現状はこうである──名の売れたスーパー経営者が雇われて、会社に大きな影響を与える(少なくとも最初のうちは)が、えてして短期間でクビにされ、自分が下した決定の長期的な影響を目にすることはない。

これが理想的なシナリオではないとすれば、何が理想的なのか。われわれは今日のリーダーにどのような資質を求めるべきなのか。リーダーはどれくらいの期間、在任すべきなのか。そして、いずれにしても、彼らが実際に及ぼす影響はどの程度なのか。

ブーズ・アレン・ハミルトンの調査によると、1995年から2001年の間に主要企業のCEOの退任者数は53%増え、CEOの平均在任年数は9.5年から7.3年に下がった。また、かつてはトップの安定性を高く評価していたのに、近年は社外からのCEO招聘や変化を起こすという彼らの約束に賭けたがる投資家が増えている。

企業の事象のこうした変化は、CEOの任期に対する機関投資家の途方もない影響力や、読者が求める栄光物語を常に探しているビジネス雑誌など、いくつかの要因によるものだ。

そして、CEOの悲劇的な転落物語はさらに喜ばれるという中で、非現実的な期待とそれを満たせなかった場合の素早い処罰という特徴を備えた、ヒーロー待望文化が生まれている。

「こうした期待が生まれるのは、ひとつには、CEOの資質は企業の業績の最大の決定要因であり、したがって強力なCEOなら企業の救世主になれると期待するのは現実的であるという、強烈な間違った思い込みがあるからだ」

こう語るのは、ハーバード・ビジネス・スクールの助教授で、『Searching for a Corporate Savior: The Irrational Quest for Charismatic CEOs(企業の救世主を求めて)』(Princeton University Press, 2002)の著者、ラケシュ・クラナである。

「何百件もの大規模なサンプル調査から言えるのは、企業の業績に対して安定的かつ直接的なCEOの影響があるという経験的根拠はない、ということだ。これはCEOが重要ではないという意味ではない。きわめて特異な事例や、ある種の非常時にはCEOは間違いなく重要だろうが、大方の人の頭にあるのは、こういうことではない」