あなたはいつもと変わらない話し方をしているのに、退屈そうにされたり、やたらと聞き返されたり、イライラされたりするときはないだろうか。聞き手が違えば受け取り方が違う。相手によって話し方を変えてみよう。
同じ言葉を聞いても、すべての人が同じメッセージを受け取るとは限らない。
心理学者のカール・ユングは、人間にはそれぞれ特定の心理的習慣や嗜好があり、それがその人の情報処理の方法や決断の下し方、他者とのコミュニケーションの取り方を左右することに気づいた。性格スタイルの違いを理解することによって、自分のコミュニケーションスタイルを修正することができる。それによって、聞き手に最も理解されやすい形でメッセージを伝えることができ、コミュニケーションの不全というリスクを減らすことができる。
ユングの理論を応用した代表的な判別法に、人間を16の性格スタイルに分類するマイヤーズ・ブリッグス・タイプ分類表がある。再就職斡旋会社、DBMのCEO幹部指導部門の責任者、ボビー・リトルらは、これをもとにコミュニケーションに最も直接的な関係がある4つの特質に焦点を絞って、性格スタイルを判別している。
●直感型
途方もない構想を抱く人間、常識の枠を超えて新しいことを考える夢想家である。長期的な思考、イノベーション、可能性の世界が彼らの特徴だ。現在よりも未来に焦点を当て、ときに現実から遊離する。また、実験を好むので、間違うことは彼らにとって大したことではない。彼らの最大の欲求は、周囲の人々から是認され、支持されることだ。人口の約13%がこのカテゴリーに入る。
コンセプトが最初に来て、事実は最後の最後に来るのが直感型の特徴だ。自分の立場を裏づける事実をほとんど持たずに途方もない構想を支持する傾向がある人は、おそらく直感型だ。事実を並べ立てられたら、彼の目はどんよりしてくるはずだ。
直感型の話題は飛躍しがちで、「エキサイティングだ」とか「もし……だとしたら……」といった類の言葉やフレーズを多用する傾向がある。
●思索型
直感型の正反対で、論理、客観性、体系的な探究を重視する。どこまでも事実を求め、その事実を慎重に分析するまでは結論を出さない。また、一つ一つのアイデアの因果関係を検討してからでないと先に進めない。
彼らの最大の欲求は、事実を正確に把握することだ。思索型の割合は比較的小さく、人口の約14%である。
彼らはきわめて論理的で、話のポイントごとにそれまでのポイントとの関連を細かく把握しようとする。また、話を裏づける証拠をたびたび要求し、その主張が正しいかどうか確認しようとする。彼らの話や表現はきわめて控えめで正確だ。また、他人との物理的な距離を比較的大きく取ろうとする。
●感情型
人間が最大の関心事という人々だ。調和を大切にし、きわめて敏感で人の気持ちを慮り、意思決定に関して人間的側面に関心を持つ。
彼らの最大の欲求は安心感だ。このタイプは人口の約30%を占める。彼らにとっては、話している相手と個人的なつながりを築いていると感じることが重要だ。そのため、あなたの生活について尋ねるなど、個人的な軽い話題から会話を始めることが多い。実際、感情型の人間はかなりおしゃべりだ。
彼らの話には、多くの物語が盛り込まれ、「私はこう感じる」などのフレーズがよく使われる。誕生日にカードを送ってくるのはこのタイプだ。
●合理型
実際的かつ行動志向で、思索型と同じく事実を好むが、それは話の本筋に最も関連のある事実だけだ。合理型は現在に焦点を当て、概して切迫感を持って行動する。彼らは有能な実行者だ。
彼らの最大の欲求は結果を得ることだ。このタイプの割合は最も多く、人口の約44%にのぼる。
合理型の人間は、概して口早に要点をかいつまんで話す。この傾向が強すぎてぶっきらぼうに感じられることさえある。焦点を当てるのは当面の目標であり、彼らには他の話題を受け入れる余地はほとんどない。本題とは明らかに関係がない話を交えすぎると、「要点は何ですか」というそっけない言葉で話をさえぎるだろう。