相手に合わせたコミュニケーション

相手のスタイルを見分けるだけでは問題は解決しない。自分自身のスタイルも知る必要がある。そうすれば、自分と異なるスタイルを持つ人たちに最も効果的にメッセージを伝えられるよう、自分のスタイルを修正することができる。ただ、自分のスタイルを変えすぎたら、逆効果になりかねない。

さらに、あなたの会社の全般的なコミュニケーション・スタイルから逸脱しないよう気をつけなくてはいけない。非言語的な手がかりに注意することも大切だ。そうすれば、自分が正しいアプローチを取っているか確認できる。

以上の点を踏まえて、それぞれのタイプに対する最も効果的なアプローチの仕方を以下に説明しよう。

●直感型

直感型の人間と効果的にコミュニケーションを取るコツは、時間をかけることだ。短い言葉を矢継ぎ早に投げかけたら、彼らは間違いなく興味を失う。対象となっている話題のあらゆる面──会社にとっての意味、その部署にとっての意味、自分たち自身にとっての意味──について、彼ら自身に考えさせよう。細かい点について話しすぎると、彼らはうんざりしてしまう。

質問を通じて彼ら自身に考えさせるのも一つの方法だ。場合によってはプレッシャーを与えてもよい。新しいアイデアを出すという挑戦に立ち向かうことで、彼らは成長する。

●思索型

アイデアを非公式な形で伝えたのでは、彼らの関心を引くことはできない。何を語るにせよ、その内容は事実だけでなく綿密な分析によっても裏づけられていなくてはいけない。論理的に結論へと導く体系的かつ具体的な議論を展開する必要があるということだ。

すべての証拠を集めるまでは思索型にはアプローチしないほうがよい。証拠がなければ、彼らは話を真剣には受け取らない。また、感情を交えすぎないよう注意しなくてはいけない。

●感情型

このタイプにも、余分に時間をかけることで、はるかに効果的にメッセージを伝えることができる。それは彼らが感情的に傷つきやすいからだ。

ゆっくり話を進めよう。プレッシャーをかけすぎたり、威圧的だったりしてはいけない。個人的な話題で和やかな雰囲気をつくり、それから、あなたのメッセージの人間関係面での意味合いやほかの人々に対する影響を説明しよう。

感情型は周囲の人々がどう思っているかに大きく影響されるので、同僚たちがどんな反応を示したかを説明しよう。質問することによって彼らの関心を引き出そう。感情型は概して、ほかのタイプほどすんなりとは自分の意見を表明しない。

●合理型

合理型に対しては、簡潔さがカギになる。彼らは行動の人なので、単刀直入に話をしよう。雰囲気づくりの身近な話題など、彼らにとってはイライラするだけだ。彼らが望むのは、どうやって目的を達成するかを示す事実と道筋を知ることだ。回りくどい言い方をしたら、「要点は何ですか」と切り込まれることだろう。

彼らを挑発してはいけない。闘争心が旺盛な合理型にそんなことをしたら、拳を振り上げる許可を与えるだけだ。

スタイルの修正は、チームや多人数のグループにメッセージを伝えたいときに、とくに役に立つ。チームは個人の集まりではあるが、それぞれのチームに支配的なスタイルがあることが多い。だが、集団に支配的なスタイルがない場合はどうなるのか。その場合の最善の策は、個々のスタイルの欲求に応じられるようにメッセージを構成することだ。『Leading Geeks(オタクを導くリーダーシップ)』の著者で、ロサンゼルスのC2コンサルティング社のトップを務めるポール・グレンは、まず、合理型に向けたメッセージから始めよう、と提案する。合理型はこらえ性がなく、すぐに退屈するからだ。次に、思索型のためにデータと分析を提供する。その次に、直感型に向けて、自分の提案の長期的な意味合いは何かという全体像を描き出し、最後に、感情型に訴えかけよう。彼らは途中で関心を失わずに聞いてくれる可能性が最も高いからだ。

(翻訳=ディプロマット)