去年の手帳を取り出して、見直してみる

「今年こそは」と新年の決意をする人は少なくないだろう。だが、決意を新たにしたぐらいで人はそうそう変わらない。年度替わりの4月にまた決意を新たにして、上半期が終わる頃にまた決意して、秋を迎えた頃にはなし崩しになって「来年こそは」で1年が終わる。決意の無駄打ちをしないで、自分を変えるにはどうしたらいいか。私が昔から使っている簡単な方法が3つある。時間配分を変えること。住む場所を変えること。そして付き合う人を変えることである。

まず去年の手帳を取り出して見直してほしい。記憶に残っている会合や会食はどれだけあるだろうか。1日24時間で睡眠時間8時間、食事その他で4時間を要するとして、1日で有効に使える時間は12時間。サラリーマンでも経営者でも大体同じようなものだ。12時間×365日=4380時間。1年を振り返って、4380時間で意味のある時間の使い方がどれだけできているか。会合や会食などに費やした時間で、自分が貢献した、勉強になった、ネットワークが広がった、など何らかの有意義な時間は5%もあればいいところだろう。一言も発言の機会がなかったとか、お付き合いで出ただけとか、参加した意味がない会議や会合、つまり無駄に使った時間が50%以上ではないだろうか。どんなに忙しい人でも大体そんなモンだ。「時間配分を変える」とはそうした時間を「余った時間」として認識し、やりたいこと、やらなくてはいけないことに積極的に配分していくことだ。

仕事のない土日。「自分はこういう能力を身に付けたい」「こういう活躍をしたい」という目標を持っている人にとって、まとまった時間が確保できる土日は一番肥沃な土壌だ。そこでゴロ寝したり、漫然とテレビを見ているのは実にもったいない。「漫然」というのが一番いけない。漫然と過ごした時間は頭が働いていないし、スキル向上にも役立たない。働かない頭脳は1年後には確実に退化している。

時間配分を変えるためには、どんなことに時間を使いたいのかを明確にしておく必要がある。1年後に自分がどうなっていたいのか、イメージを出すことも大切だ。たとえば「世界経済の動向をもっと自分の肌感覚でつかめるようになっていたい」とイメージしたとしよう。海外に行かずとも、毎日欠かさずにNHK BS1の朝4時から7時までのワールドニュースを見るだけで1年後には相当な力がつく。