一番役立つのは自分と違う発想をする人
最後は「付き合う人を変える」。いつも付き合っている仲間や友人は、基本的には気が合う相手だろう。だが、気が合う人ぐらい役に立たない相手はいない。なぜなら、「気が合う」と思った途端に理解した気になってしまうから。ピリピリとした刺激を受けたり、反発して考えたりすることが少ない。気の合う相手は人生の有難い友達として取っておいて、気が合わない人や社内でいつもぶつかる人と、あえて付き合う。飲みに誘う。よくよく話をしてみると、「そういう理屈があったのか」と意外な一面に気づいたり、自分にはない発想に出合える。
「コイツはやっぱり許せない」と再認識することもあるだろうが、それはそれで刺激になる。付き合って一番役立つ相手というのは、自分とはまったく違った発想をする人だ。それによって自分の発想力が磨かれるし、自分の論理に間違いがあれば気づく。外国人と付き合う一番のメリットはすべてが「自分とは異なる」視点、という刺激だろう。
だから違う会社の人間や違う業界の人間と付き合うのもいい。とにかく付き合う人を変える。日本のサラリーマンは会社に入っても大学の同好会のノリで安易な人間関係を築いている人があまりに多い。
ところで付き合う人を変える手っ取り早い手段は、会社を変わることだろう。しかし、3回以上変わってはいけない。一度、転職癖がつくと我慢が利かなくなって、嫌になったらすぐに逃げ出すようになる。
どんなに嫌な会社でも、入った以上、その会社を何とかよくしようという気持ちを持てないようでは大成しない。組織にとって大事なのは、皆であらゆる困難に立ち向かう勇気と気概だ。転職を繰り返しているとそれができない人間になってしまうし、そう見なされる。転職を自分を変える機会に使うのもいいが、3回までと心得るべし。
(小川 剛=構成 AFLO=写真)