サラリーマンにとっては朝起きてから会社に行くまでの時間も肥沃な時間帯で、私は毎朝4時に起きてBS1のニュースを見たり、パッドで新聞を読んでいる。朝が苦手ななら録画して、空いた時間に見てもいい。ただし、1週間過ぎたらダメ。1週間過ぎたニュースはあまり切実感がなく、見る価値がない。BS1のニュースがいいのは、現地の放送局の映像をそのまま流してくれることだ。余計なNHKのアナウンサーも解説委員も出てこない。朝4時台(ワールドニュースアジア)は中国、韓国、シンガポール、ベトナム、タイ、などアジアの放送局ばかりで、5~6時台はアメリカ、イギリス、ドイツ、ロシアなどの欧米系を中心に中国、インド、カタール(アルジャジーラ)、時としてトルコ、ブラジルなど世界中のニュース映像が入ってくる。
世界のニュースに浸っているとやはり世界観が変わるし、ニュースに対する感性が研ぎ澄まされてくる。たとえばイスラム国(IS)の爆弾テロでロシア機が墜落した事件。飛行機が飛び立ったのはシナイ半島の南端、シャルム・エル・シェイクというエジプトの保養地だ。かつてスエズ危機や中東戦争でイスラエルに占領された歴史を持つ同地は中東有数の国際的な高級リゾート地に変貌を遂げている。ヨーロッパ中から保養客が来るが、中でも多いのがロシア人。ビザが要らないから、ロシア人が大挙してやってくる避寒地の一つになっている。だから彼の地を行き来するロシア機がテロのターゲットになったわけだ。ちなみにムバラク前大統領が失脚後に引き籠もったのもシャルム・エル・シェイクにある邸宅だった。
世界のニュースに毎日触れていると、これくらいの地名や人名は自然と頭に入ってくるし、さまざまな国際情勢がリンクしてくる。ロシア人が実質的にビザなしで行ける避寒地はエジプト以外ではトルコとタイしかない。ロシアはトルコに爆撃機が撃墜されて同国には渡航禁止令が出されている。ということは次にISが狙うのはタイではないか、という推測が成り立つ。こうしたことを自在に描けるようになるのも平素からの情報収集が立体的につながっていればこそである。