本書の著者は、今最も注目される経産省の現役官僚だ。震災・原発事故を機に電力業界との癒着ぶりが白日の下に晒された同省で、以前から公務員制度などの改革に取り組んできた。そのため上層部に煙たがられ閑職に追いやられるが、退職を迫られる今も省内に留まり続けている。本書には、その“闘い”の過程で著者が目撃し、直に聞き取った権力中枢の実態が、冷静な眼差しと抑えた筆致でつぶさに描かれている。出版後わずか3ヵ月余で発行部数は38万部を超えた。
古賀茂明●こが・しげあき 1955年、長崎県生まれ。80年、東大法学部卒業、通商産業省(現経済産業省)入省。経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長等を経て2008年、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官。09年より大臣官房付。
「出身は長崎ですが、奥付の略歴では2刷まで東京となっています。チェックするときに自分で見落としたもので(笑)」と、他愛ない会話で苦笑するが、その身辺はどうも尋常な状態ではない。実はここ数カ月、不可解な“事件”が続いている。書籍発行直前の5月上旬、自宅玄関の前に血を流したハクビシンの死骸が置かれていた。7月末には、付近で著者宅だけが停電に見舞われ、今は警察が周辺を深夜パトロールしているという。
6月末、自身のツイッターで呟いた「こわいものランキング」の筆頭に、「電力会社の見えない力」を挙げた。「僕が出した東電処理策は閣僚を含めて支持も広がったと聞いていたのですが、なぜかどんどん後退。結局は経産省と東電の思い通りになりつつある。TV収録はオンエアが決まっていたのに結局は放映されない。新聞社のシンポジウムも突然、役員会に通らなかったとパネリストから外された」。
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(小原孝博=撮影)


