なんとなく信頼できる印象を与える人と、そうでない人。心理学的な観点からみて、両者にはどのような違いがあるのだろうか?

心理学的には、信頼と好意は同一次元のポジティブな感情とされている。つまり、嫌われながら信頼されることはない。信頼されるには、どうすれば相手が自分に対して好意を持つかを考えながら行動することが大切になる。

好意を持ってもらうには、まずは小さな約束を守ることが重要だ。たとえば、「資料を送ります」と約束したら、即実行する。2日も3日も放置してはダメだ。相手がオフィスに戻ってメールをチェックしたときに、資料が届いていたら、「あの人は信用できるな」と考えるだろう。あるいは、「今度、飲みに行きましょう」と言われたら、「今日はいかがですか」と聞いてみる。「飲みに行く」という約束が守られれば、相手はあなたに好意を感じるだろう。人間は言葉よりも、行動のほうを信用するからだ。

「まずい」と言いながら笑顔を浮かべて食事をする様子を見てもらい、その食事をおいしいと思うか、まずいと思うかをたずねる実験をしたところ、ほとんどの人が「おいしいと思う」と考えた。逆に、不機嫌そうに眉間にしわを寄せながら「おいしい」と言うと、多くの人が「まずいのではないか」と考えた。この結果からもわかるように、「言動の不一致」つまり、言葉と行動が食い違った場合、人は言葉ではなく、行動を信じる傾向がある。

自分に置き換えて考えるとわかりやすいだろう。家電量販店で、「在庫を確認してきます」と言いながらゆっくり歩く店員より、走って行く店員のほうに好感を抱かないだろうか。それは、後者のほうが「自分を大切にしてくれた」と感じるからだ。日頃から言動を一致させることは、信頼を得るうえで大きなポイントになる。

(構成=大山弘子)
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