なんとなく信頼できる印象を与える人と、そうでない人。心理学的な観点からみて、両者にはどのような違いがあるのだろうか?
信頼を得やすい仕草がある。たとえば、人と話をするときには、前傾姿勢になったほうが相手が好感を抱く。そもそも、人間は好きな物には、体が引きつけられる傾向がある。そのため、前のめりに身を乗り出して話を聞くことで、「私はあなたに惹かれてますよ」「あなたの話に興味を持っていますよ」という気持ちが、相手に伝わりやすくなるのだ。
医師を対象にした研究で、実際に患者を診察している場面をビデオ撮影させてもらい、どの医師が信頼できそうかを聞くという実験を行った。すると、「信頼できる」とされた医師は、全員が身を乗り出して患者の話を聞いていたというデータがある。逆に、背もたれに寄りかかったまま、後傾姿勢で対応した医師は、「信頼できない」と言われていた。
人間は、相手との距離が小さくなるほど、文字通り距離感がなくなり、好感を抱くようになる。これは「対人距離の原理」と呼ばれる。前傾姿勢になると、それだけ相手との距離が小さくなる。すると、「自分に興味を持ってくれている」と感じるのだ。
ここから、信頼を得るには、相手との距離をできるだけ縮めればいいことがわかる。タクシーに乗るときに、相手との間にバッグを置く人がいるが、それは逆効果だ。障害物を置くと、「自分をブロックしようとしている」と思われるからだ。向かい合って話をする場合も、相手との間には、なるべく物を置かないほうが望ましい。相手との距離は近ければ近いほど、いいからだ。
後傾姿勢になりがちな人は、テーブルの上に手を乗せる癖をつけるといいだろう。テーブルから手が離れた瞬間に、後傾姿勢になっていることに気づけるからだ。
(構成=大山弘子)